Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

東京の安全でない公衆無線LANは必要なのか?

レコードチャイナの3月22日の、東京の公衆無線LANの安全性についての記事は深刻に受け止める必要があるかもしれません。

www.recordchina.co.jp

2018年3月21日、在日本中国大使館は日本で生活を送っている中国系や日本を訪れた中国人観光客に対し、都内の公衆無線LANは安全でないものもあるため不用意に使わないよう呼び掛けた

 

ある調査によると、東京都内の新宿や渋谷、六本木、秋葉原などの繁華街では公衆無線LANサービスの14%がパスワードなどセキュリティーのない状態で利用できるという。

(レコードチャイナ記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

日本でも同様な記事が定期的にUPされていますし、2020年の東京五輪に向けて政府もこの課題を解決していこうとしています(※下記、3月22日の「公衆無線LANセキュリティ分科会報告書」参照)。しかし、中国からの観光客向けに「中国大使館」がメッセージを出している、その事の重みは計り知れません。実際には安全なWifiネットワークもある訳ですが、日本に来る中国人観光客の多くが、日本の無線LANは安全ではない、という先入観を持ってしまう事が大きな問題かと思います。

 

www.soumu.go.jp

因みに、公衆無線LANセキュリティ分科会報告書では、暗号化通信の重要性を説きつつも、キャリア提供の通信では電話番号等の一定のトレーサビリティが確保できているとしているが、自治体やフリーWifiでは認証もなく、トレーサビリティが十分に確保できないケースもあるとして、2段階認証や監視カメラの併用や、安全な使い方をユーザに啓蒙する必要性などが提言されています。

2020年に向けて、既存のフリーWifiを徐々にセキュリティ強化していこうとの思惑も含んだ報告書になっているようです。

日本も外国人旅行客への(安全なフリーWifi、危ないWifiの見分け方といった)啓蒙活動も前倒していかないと、今回の在任日本中国大使館の発表を受けて、不安に思う中国人観光客も増えてしまうかも知れません。

www.anzen.mofa.go.jp

 

因みに・・個人的には、怪しいフリーWifiは、お役所が見つけたら改善させるか止めさせるべきであって、暗号化無しを許すのであれば、身元のしっかりした(トレーサビリティを担保できる)キャリア回線か、短時間利用しか認めない海外でのホテルロビーのWifi(情報漏えいするかも知れないから自己責任で使えとのアナウンス画面にOKを出した後で使える)位にした方が良いのではないかと思っています。

東京(日本)は世界で一番治安の良い都市(国)である、という話が都市伝説にならないように、オリンピックでもに向けてWifiも安全な回線がほとんどという状態(フリーWifiは自己責任)になると良いのですが。

 

「Free Wi-Fi」のイラスト文字

 

更新履歴

  • 2018年3月25日PM(予約投稿)