Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

キャッシュレス時代はそれでもやってくる

北海道地震に伴う停電でキャッシュレスの課題が浮き彫りになったとの記事が出ていました。

www.oricon.co.jp

災害大国の日本で、キャッシュレス社会は政府の思惑通りに進展するのだろうか。キャッシュレス決済問題に詳しいニッセイ基礎研究所の福本勇樹主任研究員に、克服すべき課題などについて考えを聞いた。
●18%を40%に高める目標、2025年までに

ーーそもそも日本ではどれくらいキャッシュレスが普及しているのでしょうか

「まずキャッシュレスとしては、クレジットカードやデビットカードに加え、SuicaWAONなどの電子マネーQRコードなどのモバイルウォレットがあります。

いま日本ではキャッシュレス決済比率が18%(2015年)ですが、政府は2025年に向けて40%に高めようとしています。この4月に経産省は新たな目標を出して、それまでの目標を2年前倒ししました。40%という数字は世界的な状況を踏まえて決められた目標です」

(oricon記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

なかなか興味深い記事でした。電力が落ち、決済ネットワークが止まった際にも現金は信用があり、ネットワークに承認(セキュリティ)を任せてるキャッシュレス決済(クレジットカード・デビットカード・キャッシュカード・電子マネースマホ電子マネースマホの○○Pay系・・・)は、コンビニでおにぎりすら買えないという弱点。特にキャッシュレスの便利さに慣れきっている人ほど、こうしたネットワーク不通による影響を受けてしまったということなのでしょう。

 

Oricon記事にあった、元の匿名投稿も見てみました。どうやら投稿主はapple payにすべてを依存した生活を送っていたようです。

anond.hatelabo.jp

気持ちは察しますが、リスク管理の観点では代替手段を持ってないのは流石にやり過ぎだったのかなと感じます。日本人は現金大好きな国と言えそうです。2015年データでは18%がキャッシュレス手段と言うデータのようですが、様々な所で以前言われていたのが、日本はざっくり70%位が現金取引(現金決済市場)であるという点。

経産省野村総研)の2016年データがあったので、載せて見ますと、

 

キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識

 

f:id:foxcafelate:20180917105533j:plain

 

日本市場ではキャッシュレス比率は20%程度の様です。2016年はapplepayが日本でも導入された年なので、大幅にUPしたのは、こうした●●pay系の底上げ分が影響してそうです。そう考えると、、2018年で25%程度でしょうか。(ドイツも意外とキャッシュレス率が低いのは意外でした。とは言え日本以上にデビットカードが普及しているのですが・・)

 

浅草を始めとする都内の観光地、未だにクレジットカードが使えない(例えば券売機等)でうろうろする訪日外国人の方を見かける事がありますが、東京五輪に向けて海外からの観光客を増やすのであれば、キャッシュレス環境は更に整備していくしかありません。なので、徐々にかも知れませんが、日本のキャッシュレス化も環境の整備にも伴って進んでいくものと思います。

 

では、キャッシュレス化を進めて現金が必要になって積んだ、前述の匿名投稿主の方のようにならない様にどうしていけば良いのでしょうか?

私は、、複数の決済手段を準備しておくべきであり、その代替案に現金を手持ちしておくのが良いのだと思います。

スマホ決済(applepay)、あるいはクレジットカードに全ての決済を委ねてしまう、ポイント等々が集約されるので便利だとは思いますが、震災がなかったとしても1つに集約するのはリスクがあります。その1つが例えばスマホや財布を落とすケースではないでしょうか。(短期的に積みます)

 

参考:

foxsecurity.hatenablog.com

また、私も経験した事がありますが(ありがとうイモトのWIFI)、クレジットカード情報が(他所で)漏洩した際に、カードの再発行をしなければならないケースもリスクと言えます。その際に自動引き落としの変更など、付随して色々と決済が止まる事態に巻き込まれるケースがあるのです。

現金に関しては、私は冠婚のケースで銀行の窓口に行き忘れた場合を考えて新札を少し持つようにしています。それは過去に新札を交換し忘れた経験があるのですが、東日本大震災の際にATMが使えなかったのを聞い、必要最低限は持つようにしています。

 

銀行も経費削減というより、FinTechやQRコード等でのモバイル決済との対抗で生き残りをかけて実店舗を減らしていく方向にあります。ATMはそれでも残るのでしょうが、東日本大震災の際に電源が落ちてATM内の現金は犯罪者に盗まれたケースなども考えると、現金集計・輸送等のコストを考え、銀行を含めた決済会社は、中長期的にはキャッシュレス(店舗削減→ATM削減)に向かっていっている様です。

matome.naver.jp

キャッシュレス時代、便利な現金というものに慣れた私たちも、少しづつ時代の変化に伴って変わっていく必要がある、そんな風に感じてます。

 

キャッシュレス化のイラスト

 

更新履歴

  • 2018年9月17日AM(予約投稿)