Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

ベネズエラの停電

ベネズエラで大規模停電が7/22に発生し、米国からの「電磁波攻撃」により発電所が攻撃を受けたとマドゥロ政権は発表しました。

www.asahi.com

 

 政情不安が続く南米ベネズエラで22日午後、再び大規模な停電が発生した。現地報道によると、停電の範囲はほぼ全土に及んだ。マドゥロ政権は「発電所が電磁波攻撃を受けた」と発表した。

 現地報道などによると、停電が発生したのは22日午後4時40分ごろ。カラカスで地下鉄が止まったほか、各地で信号や通信機器が使えなくなるなどした。

 

朝日新聞記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

ベネズエラは今年5月に親米野党のクーデターが失敗している事もあり、政権側はアメリカへの敵視感が強いと言われていますが、今回のマドゥロ政権の「米国」による電磁波攻撃について、証拠は一切開示されていません

正直アメリカなら、発電所が落ちる様なサイバー攻撃の手段をたくさん持ってそうな気もします。そうした意味では、米国がやるなら普通のサイバー攻撃でもよかったんではないか?と思います。

 

マドゥロ大統領は、ドローンにプラスチック爆弾が積まれて暗殺未遂が起きた!と大々的に発表していた事もありますが、いくつかの検証報道では、プラスチック爆弾には爆発後の写真ほどの破壊力が無かった・・ともいわれてますので、今回も単なるサイバー攻撃を”電磁波”といったのかも知れません。

www.cnn.co.jp

 

しかし、朝日新聞の取材では・・・違った意見も載っていました。

 ベネズエラでは今年3月以降、大規模停電が頻繁に発生。マドゥロ政権は、敵対する米国によるサイバー攻撃や電磁波攻撃と主張してきた。しかし、チャベス前政権で電力相だったエクトル・ナバロ氏は、朝日新聞の取材に「送電設備周辺で草刈りを怠り山火事が起きるなど、施設の管理不足が停電の原因だ」と語った。

朝日新聞記事より引用)

 

 

更に海外メディアを調べてみると、CNNでは更に違った理由が出されていました。

マドゥロ大統領と他の政府高官は過去に「テロ」と野党の妨害破壊行為を非難してきました。そして、しばしば米国の関与を主張しました。その他の理由としては以下が挙げられます。

・高電圧ケーブルを噛んだイグアナ、2010年の東北地方での停電を説明した理由
・昨年10月にルイス・モッタ・ドミンゲス電気大臣が主張した「ネズミ、ネズミ、ヘビ、ネコ、リスなどの動物」が水力発電システムの変電所に侵入
・2018年6月に上級官僚のLisandro Cabelloが主張したように、赤道近くの国の立場は、「我々は太陽に非常に近い」という事実は、ベネズエラにおいて他の国々よりも電力のより集中的な使用を意味する

CNN記事より引用)※機械翻訳

 

経済危機が悪化し食料や衣料品が不足していて400万人が脱出したベネズエラだけに、どれもそれっぽく聞こえます。大規模停電がどういった理由だったのかは、あるいは米国の電磁波攻撃の詳細については、続報を待つしかなさそうですが、色々な意味でベネズエラの動向から目が離せないなと思います。

 

 

日本人のためのパスワード2.0   ※JPAC様 ホームページ

7/8に日本プライバシー認証機構(JPAC)様からホワイトレポートをリリースしました。キタきつねとしての初執筆文章となります。「パスワードリスト攻撃」対策の参考として、ご一読頂ければ幸いです。

 

 

f:id:foxcafelate:20190803094959p:plain

 

更新履歴

  • 2019年7月28日AM(予約投稿)