Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。諸々のお問合せ(取材、執筆、各種お問合せ等)はフォックスエスタ (https://foxestar.hatenablog.com/)をご覧ください。

警察も内部脆弱性診断をした方が良い

警察の失態がまた発生したか、とぼーっとニュースを見ていたのですが、警察病院とは言え5階から逃走が出来てしまうのは少し驚きました。

www.sankei.com

 

警視庁に窃盗容疑で逮捕された後、けがの治療のため釈放された韓国籍の60代の男が18日午前、入院先の東京警察病院(東京都中野区)から逃走した問題で、警戒中の警察官が目を離したすきに男が病院5階のトイレから逃げていたことが、捜査関係者への取材で分かった。警視庁が行方を追っている。

 捜査関係者によると、入院していた男に対して中野署員2人が警戒に当たっており、男が5階のトイレに入った際は1人がトイレの出入り口近くに配置された。午前6時45分ごろ、この署員が数十秒ほど目を離したすき男が出入り口から出て逃走する姿が病院内のカメラに写っていた。その後、男はJR中野駅方面に逃げた。

産経新聞記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

映画の世界ではトイレから脱走というのは定番の1つではありますが、警察病院は一般病院としての顔もありますので、留置所や刑務所の様なセキュリティ体制が整っていた訳ではないかと思います。とは言え、5Fの窓から逃げるという選択肢が無いものとして警備に当たっていた警察の対応マニュアルについては、『油断』という観点から、再チェックが必要なのではないでしょうか。

 

東京警察病院の外観写真はこんな感じの様です。(HPから引用)トイレがどこに位置していたかは分かりませんが、5Fから飛び降りるのは、写真から見る限り難しそう(更にけがをしそう)ですので、何かを伝って降りれる状態にあったのは間違いないのかと思います。例えば配管パイプ(マンション窃盗犯がよく使う手)であったり、警察病院の写真だと2.5Fの辺りに屋根がありますので、こうした所に飛び降りた・・といった事であれば、逃げ出せた可能性はあるかなと思います。

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もう1点、想像しうるのが、警備に当たった警察官1名の方は・・・トイレの中で待っていた訳では無く、入り口の外で見張っていただけだったのが、今回の失態に繋がった気がします。中で監視をしたくないのであれば、手足に手錠をかける、あるいは紐で縛る、といった事をする事も考えるべきだったかも知れませんが、警察病院の窓は・・・ビジネスホテルでよくある、人が出れない隙間しか開かない構造にしておけば良かったのかなと思います。

 

警察関係者には、防犯の知見を持つ方も多いのですから、内部からの逃走という観点で、再チェック(内部脆弱性診断)を行うべきなのではないでしょうか。

 

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※8/25追記 思ったより警察は甘い監視体制だった様です。追加記事が出ているのに気づきました。

www.sankei.com

 病院内車いすの使用を強く要望し、痛みを強調するなど移動に不自由な様子を装っていたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。25日で逃走から1週間となるが、金容疑者が元暴力団組員だったことも判明。バスやタクシーを乗り継ぎ、知人の車で都外に逃走しており、警視庁は周到な計画のうえでの逃走とみて行方を追っている。

(中略)

 捜査関係者によると、負傷部位は上半身だったものの金容疑者は車いすの使用を自ら強く要望。付き添っていた署員の前では、声を上げて痛がるそぶりを見せていたという。

金容疑者の退院は前倒しされたが、退院予定前日の18日朝に逃走。病院5階の多目的トイレに車いすごと入り施錠した後付き添いの署員に「忘れ物のメモ帳を取ってきてほしい」と頼み、署員が離れた数十秒の間にトイレを出て非常階段から逃げた。周辺の防犯カメラには、走ってバス停に向かう姿が写っていた。

(中略)

 ■ 一般患者に配慮 厳重警戒難しく

 けがの治療や刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置で入院した容疑者らが、病院から逃走するケースは少なくない。病院側が一般患者への配慮から院内での警察官の厳しい警戒に難色を示すこともあり、多数の警察官を配置するのが難しいという現実もある。

産経新聞記事より引用)

 

トイレの窓から逃げたのかと思ってましたが、多目的トイレ(窓が無いものと思われます)から、警備の署員が何の目的でトイレの中で使うかわからない「メモ帳」を取りに行くのを確認したのち、普通に非常階段から逃げ出したというのがオチだった様です。

これを警察の失態と言わず何というのでしょうか?

 

 ①上半身のケガで車いすに乗せたのは何故か?

 ②メモ帳を取りに行く必要があったのか?

 ③警察病院で容疑者の警備が緩める必要性があるのか?

 

少なくても3点の疑問が出る訳ですが、治療のための入院に対して正直甘すぎる事について、今回の件を機に、一般患者への配慮が必要がない状態で警備する様に体制を見直した方が良いのではないでしょうか?これが凶悪犯であった場合、地域住民に与える影響を考えると脆弱すぎる運用は見直すべきでしょうし、あるいは医者と警備署員の連携(※車いすの必要性は無いとすぐわかったはずですが・・・)をもっと密にするなど、抜本的に脆弱点を見直した方が良いのではないでしょうか。

 

 

日本人のためのパスワード2.0   ※JPAC様 ホームページ

7/8に日本プライバシー認証機構(JPAC)様からホワイトレポートをリリースしました。キタきつねとしての初執筆文章となります。「パスワードリスト攻撃」対策の参考として、ご一読頂ければ幸いです。

 

  

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更新履歴

  • 2019年8月17日AM(予約投稿)
  • 2019年8月25日PM 追加記事を受けて追記