政府の量子暗号導入の動きは、セキュリティを考えると必要な事だと思います。2025年の実用化に向けて予算がつきそうです。
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政府が、機密性の高い情報をサイバー攻撃から守る、解読困難な「量子暗号」と呼ばれる次世代技術の研究開発を加速し、2025年に実用化を目指すことが23日分かった。外交公電や企業の先端技術といった重要な情報の安全性が、格段に高まることが期待できる。
政府は25年に全国で量子暗号を使える環境を整える考えで、既に設置されている光ファイバー網の活用を検討する。総務省が8月末に示す20年度予算の概算要求に、研究開発費15億円を盛り込む。将来的には、各国首脳とのビデオ会話や外交上の機密情報などに量子暗号を利用できるよう、人工衛星で通信網を整備する考えだ。
(ロイター(共同通信)記事より引用)
◆キタきつねの所感
量子暗号は、より安全な通信暗号としての実用化が考えられている様です。更に言えば暗号化したファイル保存(復号化)にも使えると思いますので、通信に対する中間者攻撃(盗聴・解読)、セッションハイジャック、あるいはサイバー攻撃によってシステム内部に入り込まれて重要情報を窃取される・・・といった事に耐性がありそうです。
こうした技術を日本がリードしていくのは、全体セキュリティ向上という意味で非常に良い取り組みだと思います。
ネットで調べてみると、例えば東芝などはこうした分野で研究を進めている様です。
www.toshiba.co.jp
一方で、現在セキュリティの世界で発生している様々な課題について、量子暗号が万能技術として解決してくれる訳ではないという所には注意が必要かと思います。
通信が強固になったとしても、認証部分が現在の脆弱なIDとパスワードであれば、相変わらずパスワードリスト攻撃によるデータ侵害事件は起きるでしょうし、フィッシングメールを何も考えずにクリックする人は、通信の暗号強度が上がったからといって、マルウェア感染から逃げれる訳ではありません。
5Gやハイビジョン放送一般化、すなわち大容量通信の拡大から考えれば、量子暗号のニーズについては非常によくわかるのですが、それ以外の脆弱点についても、併せて違う技術を考えていく必要があるのではないでしょうか。
余談です。既に量子暗号に対する攻撃手法(脆弱点)を探す研究者も出てきているので、より安全な量子暗号の実装技術を今回の政府の後押しで実現してほしいなと、思います。
eset-info.canon-its.jp
■日本人のためのパスワード2.0 ※JPAC様 ホームページ
7/8に日本プライバシー認証機構(JPAC)様からホワイトレポートをリリースしました。キタきつねとしての初執筆文章となります。「パスワードリスト攻撃」対策の参考として、ご一読頂ければ幸いです。
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