Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

3.6億円事件の実害は150万円

この地方記事を読んで、少し懐かしく感じましたが令和初の3億円事件にしては、あっさりとした報じられ方だなと思います。
www.jiji.com

 

 埼玉県三郷市内の警備会社の金庫から現金3億6000万円を盗んだとして、窃盗罪に問われた同社の元社員、伊東拓輝被告(28)の判決が10日、さいたま地裁であり、石川慧子裁判官は懲役4年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。
 石川裁判官は「金庫内に入る権限を与えられていたことを利用した犯行で悪質」と指摘。逮捕後に約150万円を除いて回収されたが、実刑が相当とした
 判決によると、伊東被告は2019年9月、三郷市にある勤務先の警備会社の金庫から3億6000万円を持ち出して段ボール箱4箱に入れ、契約する私書箱に配達させて盗んだ。

(JIJI.com記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

過去記事を探すと、去年10月の事件でした。以下参考まで

foxsecurity.hatenablog.com

 

金庫からの現金持ち出し(宅急便で私書箱に送る手口は新鮮でしたが・・・)なので、普通に考えれば犯人は特的されやすい・・・そんなけん制効果すら役に立たなくなっているのか、あるいは警備会社何年も務めていながら、自社のセキュリティ体制について知らない(教育を受けて無い)と考える従業員が、海外ならいざ知らず日本企業内にも居たという事実は、日本の「性善説」社会が崩れ始めている事の象徴ともいえる事件だった気がします。

 

150万円が回収不能という事なので、犯人は150万円しか不正使用(主に逃走資金)してない事になります。犯行は2019年9月4日の午前中、全国指名手配が9月9日でしたので、、私だったら、、海外に逃げる事も選択肢に入れるかと思います。色々と話題になっているレバノン等も良い選択肢と言えるかもしれません。

dot.asahi.com

 

とは言え、ゴーン氏のレバノン密出国でも話題となった「犯罪人引き渡し条約」ですが、日本は米国と韓国の2か国しか締結してませんので、(3.6億円が海外にそっくり持ち出せていたとすれば)別な国に逃げても長期間の逃亡生活が送れたかも知れません

 

捕まった犯人は経済的な困窮を犯行の原因に挙げていましたが、いくらの給与だったかは分かりませんが、3.6億円も持ち出せていながら150万円しか使えずに職と将来を失う・・・何と効率が悪い犯行だったのか、と感じてしまいました。

 

余談です。私だったら・・・と様々な事件を受けて想像すると、「監視カメラ映像を消して(壊して)逃げる」事をまず考えたかなと思います。事前逃走(大きな箱とプライベートジェット)準備にもよりますが、監視カメラ映像が無いと犯人特定には時間がかかる事となり、逃走時間や様々なオプションが取れた可能性を感じました。

 

 

本日もご来訪ありがとうございました。 

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警備ロボットのイラスト

 

更新履歴

  • 2020年1月11日AM(予約投稿)