Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

財布管理はセキュリティと同じ?

とある所で同僚とお酒を飲んでいたのですが、SNSで別な同僚が財布を無くしたと・・・悲壮なつぶやきがされている事に気づきました。今や高性能スマホがあればほとんど財布が要らない生活も送れる訳ですが、財布を無くした際の考え方は・・・実はインシデント対応と相通じる事があるのに気づかされます。

www.lifehacker.jp

SNSで同僚に助言(だったかどうか分かりませんが)したのは、まずは無くした際にどこで財布を(最後に使ったのか)思い出そうという事でした。

 無くしたと思ったけれど、実は家に置いてきていた。

机の上やカバンに実は入っていました・・・という状況以上にありえる事かも知れません。

その次に考えるべき事は、1日の行動。会社内の行動を振り返ってみて、特に財布を落しそうな状況を重点的に思い出してみます。通勤中の鉄道経路、コンビニでの買い物、自販機のジュース、自席、会議室・・・見落としやすい場所としては食堂とトイレが考えられます。場所を思いついたら、警備室・関係部署に落し物を確認すると良い事があるかもしれません。

警察や鉄道会社等も含めて連絡しても、思いつく場合を一通り当たっても手がかりが無い場合・・・残念ながら移動中にスリに財布を盗られたという可能性もあるかも知れません。

 

すぐに財布は出てこないと判断した場合は、次は影響範囲を極小化することになります。財布に入っているものにどんなものがあるか・・・と考えると、こんな感じでしょうか。

  1. 現金
  2. 運転免許証
  3. 社員証
  4. クレジットカード
  5. キャッシュカード
  6. 各種会員証(ポイントカード)
  7. 診察券
  8. 保険証
  9. 定期券
  10. レシート

1の現金については、落し物を善意の第三者が拾ってくれたとしても・・・出てきたらラッキー程度に考えるべきかも知れません。6 会員証  7 診察券は他のカード類に比べて影響も小さいことが多く、再発行も容易だと思いますので割愛します。

無くなった影響で考えると、まず4 クレジットカードを止める事が最優先になります。各カード会社に言って止める訳ですが・・カードの裏面にある問い合わせ電話番号を調べる(スマホがあれば大丈夫でしょうが)事から始めなければなりません。

 

 ■紛失・盗難連絡先|お問い合わせ|クレジットカードは永久不滅ポイントのセゾンカード

 ■三井住友カードを紛失・盗難の際は|クレジットカードの三井住友VISAカード

 ■MUFGカード カード盗難・紛失のご連絡|クレジットカードなら三菱UFJニコス

 ■紛失・盗難のご連絡|クレジットカードなら、JCBカード

 

次に5 キャッシュカードの不正利用が懸念されるのですが、暗証番号が実は生年月日だった(保険証に生年月日記載有)・・・とか、自宅の住所の一部を使っていた(運転免許証に住所記載有)という、脆弱なパスワード問題にひっかかかっていなければ、すぐには不正引き出しをされる可能性は少ないかも知れません。とは言え、キャッシュカード取引を止めるのにも、口座番号が分からないと時間がかかりそうですが、自宅に保管している通帳を探さないと、という方が多いかもしれません。止めるのも一苦労です。

 

その他の影響を考えると次に考えなければならないのは、2 運転免許証 3 社員証 8 保険証といったIDカードです。運転をされる方でしたら、免許が無いと免許不携帯でつかまる可能性も出てきますので運転免許が優先されるでしょう。また身分証としても対外的に使えますので運転免許の再発行を次に考える方は多いでしょう。ですが、運転免許証の再交付は本人が運転免許センターに行くしかありません。

 ※東京都の場合は土・日はやっておらず、平日8:30-16:00に行く事になります。

 ■遺失、盗難、汚損、破損による再交付 警視庁

申請写真は良いとして、再交付の際にも本人確認資料として、社員証・健康保険証・住民票・マイナンバーカード等が必要となります。

ここで最初のトラップに巻き込まれます。社員証や健康保険証が一緒に紛失している場合にはかなり面倒になります。社員証や保険証は会社(組織)側の対応が早ければ、もしかすると運転免許証より早く入手が可能かもしれませんが、普通はそれなりの再発行時間がかかることが多いかと思います。(1-2週間)

マイナンバーカードは・・・普及率が20%には届いてないと思いますので、住民票が一番楽そうに思えますが、住民票を入手するにも本人確認書類が必要となりますので、、、ここで手続きが滞る可能性もあります。とは言え、同居のご家族がいらっしゃれば、ご家族の方の身分証提示で住民票が取れますし、あるいは親族の方などに委任状を書いて入手してもらう手もあるかと思います。

 

そう考えると、

【捜索】     身近で探す > 心当たりの所に電話する

【不正利用防止】 クレジットカードを止める > キャッシュカードを止める 

【再発行】    会社にて臨時社員証(一時利用)を発行してもらう > 社員証・保険証の再発行依頼

         住民票(家族の協力)を入手する > 運転免許証を再交付する(平日) 

         クレジットカードの再発行手続き(コールセンター)

         キャッシュカードの再発行手続き(店頭・本人確認書類要)

 ※因みに、上記がセキュリティ対策でいう「インシデント対応計画」と言えそうです

という感じで進めるのが良い気がします。

再発行に関しては並行処理で動ける部分がありそうですが、本人確認書類(ID証)の入手や各々違う会社に電話する必要があったり、とにかく手間がかかるのは間違いありません。

 

では、こんな面倒な事に巻き込まれない為には?と考えると・・・実は財布の中に普段使わないカード類をたくさん入れている事が、いざ事故が発生した際の影響範囲を大きくしている事に気づかされます。

  • 普段使わないクレジットカードは持ち歩かない
  • キャッシュカードも普段使う銀行の1枚だけ持つ
  • 保険証は病院に行く時以外は家においておく

普段財布に入れて持ち歩かないカードを安全な所に保管(貸金庫は・・普通は使わないでしょうから、家に手提げ金庫設置するか、普段使わないスーツケースに入れるのもお勧めです)しておく事が前提とはなりますが、一気に全てを紛失した際の影響というものは、かなり軽減されるのではないでしょうか。

こうした手法、私は海外に行く時に実践しています。資産をホテルのセーフティボックス、スーツケース、財布と分散管理しています。

 

併せて、各カード毎の紛失時連絡先をメモ(棚卸し)しておくのも手続きの煩雑さから逃れる良い手かも知れません。あるいは、、、カードの表面(番号)と裏面(連絡先)の写真をスマホアプリで管理するのも万が一を考えると良い手法です。

 

 

 

因みに、冒頭の同僚の方・・幸運にも店舗で財布が見つかったと後日分かりました。。良かったです。

 

 

財布を無くした人のイラスト(落し物)

 

更新履歴

  • 2018年6月16日PM(予約投稿)