Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

サイバー冷戦がやってくる

サイバー冷戦・・・またサイバー戦争の真っ最中な気がするのですが、CheckPointの予想は「冷戦」だそうです。

www.ehackingnews.com

 

新しい冷戦は2020年に世界で始まり、サイバースペースで勃発します。選挙前の偽ニュースは、政治におけるインターネットのトレンドになります。企業や一般の人々は、フィッシングやランサムウェアウイルスといった古い脅威に注意する必要があります。この予測は、ロシアの国際情報機関であるRIA Novostiが利用できる調査で、チェックポイントのIT企業が作成したものです。

専門家によると、サイバー攻撃は、影響力の範囲を拡大しようとしている大国によって支援および資金提供されている小国間の間接紛争としてますます使用されるようになります

(中略)

IT企業によると、2020年のもう1つの傾向は、選挙運動中の偽ニュースです。「2016年、米国大統領選挙の前に、人工知能に基づく偽ニュースの配信が開始されました。政治的な反対者は、虚偽の物語を作成して広める特別なチームを作成することで成功しました」とIT会社は言いました。

(EhackingNews記事より引用)※機械翻訳

 

◆キタきつねの所感

機械翻訳が読みずらい(うまく訳せてない)事もありますが、記事には複数の予想が混在している様に思えたので、元ソースを探してみると去年の10月にCheck Point社が発表した内容が出てきました。

www.checkpoint.com

 

1 新しいサイバー「冷戦」がエスカレート

新しい冷戦が発生し、西側と東側の勢力がテクノロジーとインテリジェンスをますます分離するにつれて、それはオンラインの世界で行われます。米国と中国の間で進行中の貿易戦争と2つの巨大な経済の分離は、この明確な指標です。サウジアラビアの石油施設への攻撃に続いて、最近のイランに対するサイバー作戦で見られるように、サイバー攻撃は、小国間の代理紛争としてますます使用され、影響力の範囲を統合および拡大しようとしている大国によって資金提供され、有効にされます

2 米国の2020年選挙での偽ニュース2.0

2016年の米国選挙では、AIベースの偽ニュースの伝播が始まりました。政治的敵対者は、偽りの物語を作成して広め、敵対者の支援を弱体化させる特別なチームを作成し、大きな進歩を遂げました。米国の候補者は、海外のグループがすでに2020年の選挙に影響を与える計画を立て、実施していることを期待できます。

3 公益事業および重要なインフラストラクチャに対するサイバー攻撃は増え続けます。

今年の米国および南アフリカの公益企業に対する攻撃からわかるように、公益事業は引き続きサイバー攻撃の標的になります。多くの場合、重要な電力および配水インフラストラクチャは、アップグレードするとサービスの中断やダウンタイムのリスクがあるため、リモートの悪用に対して脆弱な古いテクノロジーを使用します。各国は、インフラのサイバー防御を根本的に強化することを検討する必要があります。

(Check Point発表内容から引用)※機械翻訳

こちらの方がはるかに読みやすい日本語訳でした。。。

 

記事中にあったイランへのサイバー作戦は以下の記事を指しています。イランへのサイバー攻撃といえば、STUXNETが有名ですが、昨年9月に米国は、非公開のサイバー攻撃をイランに対して仕掛けた様です

uk.reuters.com

 

匿名を条件に発言した当局者は、この作戦は9月下旬に行われ、プロパガンダ」を広めるテヘランの能力を狙ったと述べた。

当局者の一人は、ストライキ物理的なハードウェアに影響を与えたが、それ以上の詳細を提供しなかったと述べた。

(Reuters記事より引用)※機械翻訳

 

記事の文章から考えると、TV局などの施設を狙った様に思えます。しかし物理機器に影響を与えたが・・とあるので、影響は非常に限定的だった様です。

 

元の記事に戻りますが、Check Pointの予言は、、米中経済戦争の代理戦が、セキュリティ体制が整ってない小国間で行われることを示唆しています

私は、サイバー攻撃集団(APT●●と呼ばれるハッカー集団)が、代理国に教官として派遣されて、その小国から攻撃がされる・・・そんな形がやってくるのかな?とこの記事を読んでいて思いました。

 

さて、日本は一般的には(経済)大国・・な気がしますが、サイバー空間ではどうなのでしょうか?こうしたサイバー冷戦ではもしかすると、その実力が試されてしまう(攻撃を受けてしまう)かも知れませんので留意が必要です。

 

余談です。Check Pointの2020年予想記事は続きがあります。2020年の技術的なサイバーセキュリティ予想については、以下の3つを挙げていました。詳細は書きませんがご参考まで。(※内容が気になる方は、元記事を読んでみて下さい。英語ですけど

 

本日もご来訪ありがとうございました。 

 

予言の書のイラスト 

 

 

更新履歴

  • 2020年1月4日PM(予約投稿)