Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

Go to トラブル

Go to トラベルが始まり、各地で諸々の問題が表面化しつつある様です。強制力の無い検疫は当然の事ながら一部の方によって破られる。何とも歯がゆいばかりです。

www.okinawatimes.co.jp

 

「逃げられました」。午後0時5分。国内線到着口B付近で、サーモグラフィー担当者2人が慌てだした。カメラが37・5度以上の発熱を感知。スタッフが該当する男性を呼び止めて検温を求めたが、男性は応じず、その場を去った。「モニターに映る男性が真っ赤だったので熱はあるはず。でも強制はできないのが現状。うーん。難しいですね」。対応した男性スタッフは困り顔だった。

(中略)

 サーモグラフィーは、手荷物受取所から出てきた観光客らを撮影する。平熱の場合、モニターには地肌の部分が白く映るが、熱を帯びている場合は赤くなる。スタッフは色の違いを見落とさないようにモニターを注視し続ける。 

 画面上で確認できる時間は長くて3秒。早歩きの人もいる。大人数が一気に出て来て混み合うと、人が重なり合い、識別できない場面もあった。

沖縄タイムス記事より引用)

 

キタきつねの所感

こうした水際対策について、個人的には性善説での運用(全ての乗客が協力的)で考えるのは無理がある気がします。

 

より厳格に実施するのであれば、一人ひとり止める運用が求められますが、カメラの前を歩かせる様な運用においては、記事にある様に「強行突破」する人は一定数いるものと考えて、運用設計を行うべきです。

 

この那覇空港でのトラブルに関して言えば、例えばゲート(フラッパー)で止めるなり、逃げる方向けに警備員を配置するなど、いくつかの対策が考えられます。

 

しかし、根本的には検温チェック(水際対策)に対する法的根拠がないのが一番の原因な気がします。

このご時世なのですから、国会で時限立法を急いでもらうのも1つでしょうし、それが難しいのであれば、県独自の条例で「強制」根拠を検討する等、性善説運用を現場に強いる事が無く、逃げる人を止められるべき根拠を作り出すべきではないでしょうか。

 

現実問題として、それが難しい場合、(警察の協力が必要ですが)警察官の方が”居る”だけで心理的な逃亡意識は薄れる、という対策も考えられるかも知れません。

 

サーモグラフィーの検温対策、これは不審者を施設の入口で止める物理セキュリティの考え方と近い気がします。予め空港ではこういう体制になっている、と検温に時間をかける場合もある事などを告知した上で、「逃げる」旅行客が居る事を前提とした運用を考えるのも良いかと思います。

 

因みに、多少の発熱・・・多分「逃げた」旅行客も発熱がある事を知っていたかと思いますが、風邪薬(解熱剤)を使うか、サーモグラフィチェックの少し前に冷たいペットボトルでおでこを冷やせば・・・この手の関門は恐らく「くぐり抜けられる」と思います。

また、記事にも書いていますが、共連れ方式で、団体客や体の大きな方の後ろにぴったりくっつくのも、恐らく有効なバイパス方法なのかと思います。

 

こうして、性善説ではなく、性弱説の思想で「旅行客の行動心理」を考えると、効果的な「水際対策」になっていくと思います。

まぁ新型コロナでなくても、熱があったら旅行しない事が一番なのですが。

 

 

本日もご来訪ありがとうございました。

Thank you for your visit. Let me know your thoughts in the comments.

 

サーモグラフィー検査のイラスト(男性)

 

更新履歴

  • 2020年7月24日 AM(予約投稿)