Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

Instagramを使った詐欺が増えている

全世界のInstagramユーザは10億人以上、日本国内でもアクティブアカウント数が3300万人以上(※2019/6)、つまり日本人の4人に1人はInstagramを実際に使っています。全世界では毎日1億枚以上の写真が共有され、日常生活に根付いたInstagramですが、Instagramでの詐欺が”コロナ禍”で増えていると言う何ともショッキングな記事が出ていました。

nakedsecurity.sophos.com

残念ながら、このプラットフォームの人気により、サイバー犯罪者が大規模な詐欺を実行するのに理想的な場所になっています。

この詐欺は過去1年間で悪化し、BBCは2021年1月に、コロナウイルスの発生が2020年に始まって以来Instagramの詐欺報告が50%増加したと主張しています。

私たちのデジタルライフが成長し続け、オンライン詐欺師が新しいトリックを学ぶにつれて、Instagram詐欺を特定する方法と、標的にされた場合の対処方法を知ることが重要です。

(Nakedsecurity記事より引用)※機械翻訳

 

 

元ソース(Action Fraud)2020/11/8

164 Instagram users report losing over £350,000 to investment scams

 

キタきつねの所感

Twitterでも(ビットコイン詐欺事件は出るのですから、Instagramでも当然あるとは思っていました。しかし、それが英国のデータではありますが、コロナ禍を受けて急増(前年比50%増)と聞くと、日本でも十分に起こり得る気がします。

 

Nakedsecurity記事で引用されていたのが、BBCの下記の記事です。ここに50%増加の根拠(Action Fraud)が書かれています。

www.bbc.com

昨年コロナウイルスの発生が始まって以来、毎月報告されるInstagram詐欺の平均数は、詐欺とサイバー犯罪に関する英国警察の全国報告センターであるAction Fraudの新しい数字によると、50%以上増加しています。

BBC記事より引用)※機械翻訳

 

元ソース(Action Fraud)では、機械翻訳の影響もあり、少し読みづらいのですが、下記の様に書かれています。

2020年6月、Action Fraudは、Instagramソーシャルメディアプラットフォームでユーザーが提供する「マネーフリッピング」サービスと一般に呼ばれる不正な投資スキームの犠牲になった個人から164件のレポートを受け取りました。これらの報告は、合計で358,809ポンドの経済的損失になりました。

詐欺師は、サービスを宣伝した後、プラットフォームのインスタントメッセージング機能を介して被害者にアプローチします(または被害者からアプローチされます)。彼らは、数百ポンドの初期投資のみを必要とし、株式市場での取引または外貨(外国為替)の購入と取引に使用され、数日のうちに投資を数回増やすと主張しています。サービスのために少額の手数料が差し引かれた後、被害者に支払われます。

実際には、初期投資が移転されると、被害者は、より多くのお金が送金されない限り、なぜ彼らのお金と「利益」を返すことができないのかについて一連の言い訳を与えられます。最終的にすべての接触が切断され、被害者は容疑者によってブロックされます。被害者は通常、銀行振込または暗号通貨プラットフォームを介して送金するように要求されます。これは、回収がほぼ不可能であることを意味します。

Action Fraud記事より引用)※機械翻訳

 

この記事を読む限り、別な詐欺事件でもよく見かける、古典的な詐欺手法に思えます。この手法で騙される人がいるのか・・と思わなくもないのですが、Instagramならではの特性もうまく応用された「古くて新しい手法」に騙される方は結構いる様です。

 

被害者が初期投資(被害者>詐欺師)

 >少額の利子の支払い(詐欺師>被害者)

  >追加投資要求(詐欺師>被害者)

   >詐欺師と連絡がつかなくなる

 

 

Instagramでフォローしたアカウントから(詐欺師の釣り針)として最初に見せつけられるのが「成功者」としての写真です。

恐らく詐欺師のモノではない、どこからか拾ってきた若くして大金を入手した人の写真Instagramのアカウントに貼られ、

 

外国為替取引(FX)投資の誘い・・・これに被害者は騙される様です。BBC記事に出てきた被害者は、最初1,000ポンド(約15万円)の初期投資から最終的には17,000(約256万円)まで詐欺被害が膨らんだ様です。

※世の中には色々な投資があるかと思いますが、すぐに初期投資が回収できる程に儲かるのであれば、他人にそれを教える事は無い・・・このシンプルな事が理解できるだけで多くの詐欺を回避できると思います。

 

BBC記事の被害者のケースでは、Infinox(実在するFX取引業者)の取引画面の閲覧が許可されたとありますが、もしかするとこのサイト自体が偽サイト、あるいは詐欺の為のダミーアカウントだった気がします。

ジョナサン氏は、ほぼ即時の利益が約束され、投資のパフォーマンスを分析できるInfinoxと呼ばれる取引プラットフォームへのアクセスが許可されたと述べました。

最初、彼の利益は上がり、彼はより多くのお金を投資しました。しかし、彼は数ヶ月後、彼の資金が2日間で急落したのを見て、疑わしくなりました。

「私は撤退を試みましたが、撤退が失敗したとだけ言われました。説明を求めたところ、ブレグジットのために利益が落ちたという言い訳がありました。数日後、私のお金はすべてなくなり、ガービンや誰にも連絡できなくなりました。関与した」と述べた。「警察、銀行、Instagramに報告しました。」

BBC記事より引用)※機械翻訳

 

言い方が悪いのですが、Instagram宣伝文章や写真に騙されて一攫千金の夢を見る方にも隙がありすぎるのかと思いますが、こうした詐欺手口は、日本でも同様に出てくる可能性があるので注意が必要です。

 

ではどうすれが良いのか?という点に関し、Facabookはヘルプページに注意喚起(※日本語ページ)を出しています。

www.facebook.com

 

詐欺の種類に関しては、「恋愛(ロマンス)詐欺」「宝くじ詐欺」「ローン詐欺」「投資詐欺」「求人詐欺」「クレジットカード詐欺」「有料サブスクリプション詐欺」「フィッシング詐欺と、様々な詐欺の手口が解説されていますので、興味ある方はヘルプページをご覧になると良いかと思いますが、投資詐欺に関しては以下の様に説明されています。

詐欺の種類

(中略)
投資詐欺: 詐欺師は、少額の投資で大きな利益が得られる(例: 100ドルの投資から1,000ドルの利益が得られる)と現実的でない金銭的利益を騙って、あなたからお金を引き出そうとします。あなたがお金を支払うと、詐欺師はお金と共に雲隠れします。特に注意の必要な投資詐欺として、マネーフリッピング、ポンジスキーム、一獲千金をうたう詐欺などがあります。

Facebookヘルプセンター記事より引用)

 

また、こうした詐欺に遭わない為に、以下の人(アカウント)に注意を払う事を推奨しています。

お金を振り込む、あるいは個人情報を伝えてしまう前に、まずこうした怪しげな事を言ってないかを(冷静になって)確認する事が重要です。

・直接会ったことがないのにお金を要求してくる人
・ローン、賞金、その他の当選品を受け取るためにお金やギフトカードを送るよう求めてくる人
・求人に応募するために手数料を支払うよう求めてくる人
・認証済みでない、大企業、組織、公人・著名人のアカウント
Instagramのセキュリティ担当だと名乗り、あなたのアカウント情報(ユーザーネームやパスワード)を聞き出したり、アカウント認証サービスを提供しようとする人
・会話の続きを、他の人から見られにくく、安全性の低いInstagram外の環境(別のメールアドレスなど)で行うよう求めてくる人
・困っている友達や親戚がいると言ってくる人
・自分の居住地を偽っている人
・友達やよく知っている企業からのメッセージを装って、不審なリンクをクリックするよう指示するメッセージ
・誤字脱字や文法ミスの多いメッセージや投稿
・賞金の受け取りを促す人やアカウント

Facebookヘルプセンター記事より引用)

 

もう1点注意すべきなのが、信頼できそうなアカウントが「乗っ取られたアカウント」である可能性もある事です。お金や個人情報に関わる事を聞き出されそうになる、又は少しでも怪しいなと思ったら、まずは一息置いて(冷静になって)、家族や、知人・友人に相談する事を意識すべきかと思います。

 

本日もご来訪ありがとうございました。

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 SNSアカウントの乗っ取りのイラスト(女性)

 

更新履歴

  • 2021年3月23日 AM