SankeiBizの2017年12月29日の記事にインドのサイバー人材の需要拡大している件が載ってましたので、少し考えてみました。
www.sankeibiz.jp
インドでは多くのITベンチャーが育っているだけでなく、IT立国として国を挙げてエンジニア・プログラマの教育に力を入れています。その理由は、今さら書くまでもありませんが、ひとつがインドのカースト制度が出来た後に出来たIT産業はカースト制度から外れているので、バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラのカースト最下層に位置づけられるシュードラ層の人も、自身の才能と努力によっては立身出世が出来る事もあるでしょうし、アメリカの反対側の時間帯であり、英語圏のインドがコールセンターなどのサービス需要を吸収したこともIT基盤構築の遠因となった事もあるでしょう。
しかし、SankeiBizの記事では、
優秀な人材が不足しているため売り手市場となり、この1年で賃金が25~35%上昇したもようだ。現地紙エコノミック・タイムズが報じた。
同国でサイバーセキュリティー人材の需要が高まっている背景には、企業や官庁に対するハッキングやサイバー攻撃などの増加がある。さらに、昨年の高額紙幣の廃止やIT(情報技術)の急速な普及を目指す「デジタル・インディア」といった政策が人材需要増に拍車をかけているという。
と、IT人材が豊富であると言われてきたインドでも、米国や日本と同様にIT人材不足が起き始めているという事は正直驚きでした。また、その賃金上昇も、
米コンサルティング会社コーン・フェリーのインド法人によると、リーダークラスのサイバーセキュリティー人材の賃金は年2000万~4000万ルピー(約3500万~7000万円)に達している。
とリーダークラス(注:恐らくCSO,CISOクラスと推測します)の金額感がありましたので、、、
東京オリンピックに向かって更なるデジタル化、キャッシュレス化を進める日本でもIT人材は不足しているといわれていますが、日本のITやセキュリティを維持している中核人材(CSO,CISOクラスから橋渡し人材と言われる中間層まで)に対して、適切な対価(給与・役職・やりがい)を払えないのであれば、アメリカやインドとのセキュリティ人材の奪い合いに巻き込まれて、その中核人材を取られてしまう、そんなケースも考えられそうです。
参考:
www.sankei.com
英語での意思疎通が図れ(ここも重要)、全社のセキュリティ戦略を任せられる様な優秀な社内人材が国内からも海外からもヘッドハンティングされるケースが今後どんどん増えそうな気がします。優秀な人材を社内で育成するだけではなく、定着させる事(人材防衛)の重要性が増していきそうです。

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