テスラは注目が高すぎるためか、セキュリティを考える上で変わった視点の素材が提供され続けています。ある意味イーロン・マスクCEOには不幸な事かも知れませんが・・・
www.sbbit.jp
“空”から判明した、テスラの生産体制
──テスラは実際に目標を達成したのか。
ダイアモンド氏:『モデル3』を4~6月期に重点的に見てきたが、ほとんどの期間にわたってほぼ生産できておらず、「目標達成は難しい」と見ていた。だが、6月最後の2週間で急激に生産がアップして、目標としていた台数をギリギリのところで達成できたのが、写真の解析で観察できた。達成はできたのだが、テスラにとっては大変困難であっただろう。
──どのような方法で生産台数を確認するのか。
ダイアモンド氏:人工衛星を活用したリモートセンシングを行う米デジタルグローブ(DigitalGlobe)が撮影して販売する画像を使っている。高解像度で地上の35センチメートルの物体が確認できる。
特にテスラに関しては投資家の関心も高いので、衛星写真に加えて飛行機から撮影した航空写真も使用している。
カリフォルニア州フリーモントにあるテスラの工場の場合は、航空写真のほうが安くつく。航空機なら日中夜間いつでも極めて解像度の高い撮影ができるので、週3回から5回、上空を飛んで写真を撮影する。これらを総合的に分析して、生産台数を正確に割り出せるのだ。
(ビジネス+IT記事より引用)
◆キタきつねの所感
記事の前半は端折りますが、テスラは2018年4月~6月期の「モデル3」製造目標を約2万台としていたが、達成が危ぶまれていたため、投資家が製造状況についてRS Metrics社に依頼して、テスラの出荷場の衛星写真や航空データを分析して、正式発表前に『どうやらテスラは目標をギリギリ達成したらしい』事を突き止めました。
このRS Metrics社のビジネスモデルは非常に面白いものがあります。
記事を読無限り、今回の分析手法は出荷場(大きな駐車場)の航空写真に車がはっきり映っているので、「モデルX」「モデルS」「モデル3」を識別し、停車している車がいつから置かれているかなどをAI分析して出荷台数をはじき出したようです。テスラの工場はカリフォルニア州のフリーモントにあり、屋根が無いので、こうした写真が分析に使えたようです。GoogleMapのデータで見ると、、、
こんな写真が読み取れる(※テスラ工場の画像です)わけですが、毎日こうした高精度な写真データを集め、AI分析をする事で様々な推測ができるのは非常に面白いと思う反面、企業によっては上空対策が必要となり、頭が痛いのではないかなと思います。
RS Metrics社は、元々は違う分野から知見を貯めてきたようです。記事には、
ウォルマートやマクドナルドの来客傾向も分析
──業績予測は、どのように導き出すのか。
ダイアモンド氏:重要なのは、我々は衛星写真を売っているのではなく、分析結果とビジネス予測を販売しているということだ。
この事業を始めたきっかけは、ある金融企業からの依頼だ。「買収先となる企業のマレーシア工場が、実際には稼働していない『詐欺案件』かもしれない。調べてくれないか」と。これがきっかけとなり、デジタルグローブの画像アーカイブを利用できる契約を結んだ。
手始めに小売分野でスーパー大手のウォルマート、ホームセンター大手のロウズとホームデポ、ファストフード大手のマクドナルドの駐車場に止まっているクルマの数を分析し、その来客傾向を分析するようになった。
(ビジネス+IT記事より引用)
とあり、その応用が今回のテスラ社の分析という事になる訳ですが、こうした企業の動向(来客等の車動向は特に・・・)は企業の収益予想が、かなりの精度で出す事ができるようになるかも知れません。大口投資家が欲しい情報、と考えるとこの会社は更に役割を増しそうな気がします。
自動車分野では、同様な分析手法で、トヨタ・日産の主力工場の出荷場、あるいは港での積み荷情報を分析が可能だと思いますし、新型iPhoneの売れ行きであれば、もしかすると部品製造工場の従業員駐車場を定期的に見ていけば、工場での労働力推定ができるかも知れません。
現在の空撮技術では、まだ車程度の大きさがないと分析精度が出ないかもしれませんが、スパイ衛星あるいは空撮のカメラ画素数は更に向上していくと考えれば、企業が空から丸裸にされる、そんなAI(ビックデータ)分析はすぐそこまで来ているのは間違いなさそうです。
更新履歴