米国の中西部でスーパー等を展開するHy-Veeから漏洩したカード情報がDarkWebで販売されているとKrebs on Securityで報じられていました。krebsonsecurity.com
今週の火曜日に、ハッキングされた商人から盗まれたクレジットカードやデビットカードのデータを販売する人気のある地下店舗の1つが、米国35州のカード所有者に属する530万を超える新しいアカウントを発表しました。現在、複数のソースがKrebsOnSecurityに、米国中西部全体で245を超えるスーパーマーケットのチェーンを運営するアイオワ州の会社であるHy-Veeが運営する、侵害されたガスポンプ、コーヒーショップ、およびレストランからデータが来たと伝えています。
デモインに本拠を置くHy-Veeは、8月14日に、一部のHy-Vee燃料ポンプ、ドライブスルーコーヒーショップ、レストランでの取引を処理する支払い処理システムに関連するデータ侵害を調査中であると発表しました。
(Krebs on Security記事より引用)※機械翻訳
■公式発表 Notice of Payment Card Data Incident
◆キタきつねの所感
Hy-Veeは米国の中西部でスーパーマーケット他を展開するチェーンです。このHy-Veeの店舗POSで利用されたものと思われるクレジットカードデータが、DarkWebでも有名な販売サイト、JOKER's STASHで530万件が販売され始めたという記事です。
Hy-Veeは8/14に調査中のニュースリリースを出していますので、ほぼHy-Veeからの漏洩で間違いないのかと思います。
Our investigation is focused on card transactions at our fuel pumps, drive-thru coffee shops, and restaurants (which include our Market Grilles, Market Grille Expresses and the Wahlburgers locations that Hy-Vee owns and operates). These locations have different point-of-sale systems than those located at our grocery stores, drugstores and inside our convenience stores, which utilize point-to-point encryption technology for processing payment card transactions.
(公式発表より引用)
訳文はつけませんが、公式発表を見ると、スーパーマーケットの店舗やドラッグストア等はP2PE(エンドートウーエンド暗号化)ソリューションを導入済であった事から、Hy-Veeの調査は、これら以外の給油所やコーヒーショップ、レストラン等に焦点を当てて調査中となっています。これらの場所では違ったPOSシステムを使っていた様です。
Target社や、ホームデポなどのPOSシステムからカード情報が大量に流出した事件が続いてましたが、さすがにこうした店舗では暗号化技術(P2PE)やPCI DSS(PTS)導入が進んでおり、犯罪者は「サプライチェーンの下位」を狙ったと、Krebs氏は分析しています。
JOKER's STASHのカード販売のリリース・・8/20にUPされた様です。
※Krebs on Security記事より引用
中を見ると530万件(全米から漏洩)、全米35州、3万のBIN、米国だけでなく欧州、アジア等(100か国以上)のデータを含まっている・・・とあります。
米国ではEMV化が進み、データを窃取しやすかった磁気カード取引が大分減少したので、こうした対面加盟店からの漏洩事件は減っていたのですが、久々に大型の漏洩事件が発生した気がします。
気になる所で言えば、調査対象が、ガスステーション(※EMV化は2020年まで猶予がある)だけでない所は少し怖いところです。
ガスステーションは決済端末のIC化がブランドルールで2020年までの延長が認められている訳ですが、それ以外のドライブスルー、コーヒーショップ、レストラン・・・こうした形態に関してはPOSのEMV化=ICカード対応が必須なのですが、これらの端末、あるいは端末から情報が流れるネットワークや、サーバからデータ漏洩がした可能性がある、もしそうであるならば日本の対面加盟店も2020年に向けてICカード化を進めている訳ですが、同様な脆弱性がある、あるいは攻められる可能性がある・・・少し怖い気がします。
※これらの店舗ではPCI DSS準拠だったと思われます。(=日本のカード情報非保持以上に厳しい対応をしていたと推測されます)
余談ですが、Krebs氏の記事では、DarkWebでのカードデータ販売額は、1件17ドル~35ドル(1800円~3700円位)となっていました。(つまりこの数倍以上の不正利用ができると、販売者側は考えているのだと思います)
DarkWebで販売されているデータは、磁気カードのデータだけの様ですので、モニタリング対象に入ってしまえば、そう大きな被害には結びつかないかとは思いますが、カードの再発行など莫大な事後費用を考えるとHy-Veeだけでなく、日本の対面加盟店(百貨店やスーパー等)も、Hy-Veeの事件詳細を受けて、自社のセキュリティを見直す事が必要かも知れません。
■日本人のためのパスワード2.0 ※JPAC様 ホームページ
7/8に日本プライバシー認証機構(JPAC)様からホワイトレポートをリリースしました。キタきつねとしての初執筆文章となります。「パスワードリスト攻撃」対策の参考として、ご一読頂ければ幸いです。
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