国際的な犯罪での「騙す先」が日本市場になりつつある、そうした事をこの事件は表しているのではないでしょうか。
mainichi.jp
捜査関係者によると、府警が12月5日、国内のリーダー格で、埼玉県川越市の配管工、ウー・チー・マン容疑者(35)を詐欺容疑で逮捕したことが判明。ウー容疑者が、大手通販サイト「アマゾン」で生カード1万枚や機器を購入した記録も見つかった。ウー容疑者は10年以上前に来日しており、府警は東京と大阪の拠点を統括する立場だったとみている。
一方、商品の購入役は「切り子」と呼ばれ、マレーシアから観光目的で来日するなどしていた。渡された偽造カードを使い、東京や大阪、福岡の繁華街で化粧品などを購入し、だまし取った。1月には、大阪市内の量販店で890万円分の医薬品を購入したケースもあった。現地で人気の日本製の商品を選んでいたとみられる。ウー容疑者が商品を回収し、マレーシアに渡航して詐欺組織に渡すなどしていたという。
(中略)
警察庁によると、マレーシア人が偽造カードの所持などで逮捕される事件は2018年に180件あり、前年から59件増加。近年、短期滞在ならビザ(査証)がなくても来日できるようになったことや、日本では偽造が難しいICカードに比べて不正が容易な磁気式のカードが普及していることが背景にあるという。【安元久美子】
(毎日新聞記事より引用)
◆キタきつねの所感
マレーシア人の偽造カード系のニュースはこの記事以外にも2件あり、2月の産経新聞の記事の写真を引用させて頂きますが、
偽造クレカ所持容疑 マレーシア人の男女6人逮捕 大阪 - 産経ニュース
ICチップが入ってない偽造クレジットカード(日本のカード会社のデザインとも違う気がします)が押収されています。
5月にも産経新聞の記事がありますが、こちらは写真がありませんが、
マレーシア人の偽造クレカ製造拠点を摘発 大阪府警 - 産経ニュース
同課によると、マレーシア人によるクレジットカードの国内偽造拠点の摘発は全国初。室内からは偽造カードなど約1600枚と、カード情報を磁気テープに書き込む機器などが見つかった。
(産経新聞記事より引用)
やはり、磁気カード(ICチップ無し)の偽造クレジットカードが押収された様です。
今回の毎日新聞の記事から写真を引用させて頂きますが、奥に見える11月に押収された偽造カードもICチップが無い様に見えます。(ICカードのリーダーライターも押収品に見当たりませんので、磁気カードのみで間違いないかと思います)
観光ビザで入国して、偽造カード利用で逮捕されたマレーシア人、つまり商品の不正購入役が「切り子」と呼ばれるのは初めて知りましたが、この分業制の構図は振り込め詐欺事件の「出し子」と同じです。
つまり日本が犯罪しやすい環境として、海外(マレーシア)犯罪者に認知されている事に他ならないのです。日本国内のカード会社では急速にICカード化が進んでいて、2020年に向けてICカード取引の環境は相当改善するかと思います。
一方でICカードが普及してない国からの旅行者は磁気カードを持っている事はまだあり、こうした差異を海外犯罪者は突いてきていると言えます。
英国の様なCHIP&PIN(磁気カードは受け付けない)施策は無理にしても、切り子が換金しやすい商品を大量に買うドラッグストアや百貨店の現場では磁気カードを場合によっては何枚も使い、同じ商品を購入しているかと思いますので、海外旅行客に対して不審に思った店員は、本人確認の強化(パスポートを見るとカードに書いている名前と違うケースが多いかと思います)が必要なのかも知れません。
※海外では、私もカードでの商品購入時にパスポート提示が求められる事もありますので、日本でも要求できない訳ではないかと思います。
本日もご来訪ありがとうございました。
■日本人のためのパスワード2.0 ※JPAC様 ホームページ
7/8に日本プライバシー認証機構(JPAC)様からホワイトレポートをリリースしました。キタきつねとしての初執筆文章となります。「パスワードリスト攻撃」対策の参考として、ご一読頂ければ幸いです。
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