産経ニュースの3月16日記事に、オレオレ詐欺で高校1年生が逮捕された事が載っていました。
www.sankei.com
逮捕容疑は、何者かと共謀し、金融庁職員を名乗って結城市の女性(78)に「キャッシュカード情報が漏れている可能性がある」などと電話。14日午後に少年が女性宅を訪れ、「使えないようにする」と言ってカード2枚を受け取った上、隙を見て偽のカードにすり替えて盗んだ疑い。(産経ニュース記事より引用)
手口はいわゆる普通のオレオレ詐欺ですが、窃盗容疑で逮捕されたのが通信制高校1年の少年でした。出し子(受け子)となっていたこの少年、一般的な出し子の報酬額から考えると被害総額の5~10%程度だったものと推測されます。例えば300万円の詐欺が成功したとして、15万円から30万円。出し子を統括する組織の上層部はもっと取り分が多い訳ですが、目先の報酬に目がくらみ、バイト感覚で出し子をやる若い人がまだまだ減らないのは、安心・安全ではなくなりつつある日本社会の縮図を感じてしまいます。
事故を分析する、セキュリティに携わる私からすると、「出し子」は一番つかまるリスクが高いのではないかと思ってしまいます。出し子がお金を入手する主なシーンは、「対面」と「ATM」だと思うのですが、それぞれに出し子は組織の上層部(指示側)と比べて高いリスクが想定されます。
◆対面で被害者からお金を受け取る場合のリスク
- 既に詐欺が警察や家族に相談されて発覚し、その場でつかまってしまう
- 被害者が出し子の特徴を覚えてしまう(顔、身長、年齢層等)
- 被害者が車やバイクのナンバープレートを覚えてしまう
- 受取り筆跡や指紋等の遺留品を残している
- 詐欺に使った携帯電話(位置発信情報)から足がつく
◆ATMで振込み金額を引き出す場合のリスク
- 店内の監視カメラに出し子が映ってしまう
- 逃走経路(場合によってはナンバープレート)なども周辺の監視カメラに映ってしまう
- 振込み口座が既に警察に知られていて、お金を引き出せない
出し子に手を出す人は、実質的な作業時間10分の簡単なバイトという感覚でやってしまう事も多いようですが、つかまった時のリスクとその対価は、仮に数十件の犯行がその前に成功していたとしても、1度つかまってしまったら、その後の人生を考えてバランスが取れているのかは疑問です。
今回の事件では、警官が容疑者の少年を職務質問を受けて逮捕されました。オレオレ詐欺は被害エリアが(出し子手配の関係で?)集中する傾向も強いので、本人はバレてないつもりでも、(複数回の犯行を重ねた結果で絞り込まれ)警戒の網に入ってしまったのかも知れません。
若い方には逮捕リスクの高い出し子などよりも、将来性を感じる、その頃にしか出来ない事(馬鹿らしい事も含めて合法的な事)をして欲しいものですが、つかまったらどうなるという想像力が欠如した人が増えていますし、家庭や学校でもそんな犯罪リスクは教えてくれなくなってきているので、残念ながら、出し子を選択する人は今後も減らないのかも知れません。
参考:
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
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