失業者を誘う「出し子」の誘惑

米国では戦後最悪な失業率を記録し、日本でもコロナ禍による失業増というのは現実に近づいています。そんな中で、攻撃者が狙うのは「失業者」の様です。

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サイバー犯罪者は、現在のパンデミック中に増加するレイオフを悪用して、不正な活動から得たお金を洗浄するために後で使用できる新しいマネーミュールを募集しています。

PhishLabsの研究者によって発見されたフィッシングメッセージの中には、COVID-19の発生により職を失った可能性のあるカナダと米国からのターゲットを自宅から仕事を始めるよう説得し、月額5,000ドルを約束しているものがあります。

「私たちの素晴らしい会社は現在、非常に悲しい仕事の現在の大流行の発生のためにスタッフが不足しています」と詐欺師は言います。「興味のある方は、このメッセージへの返信でアルバイトをしてください。」

失業中の被害者が詐欺師の仕事の申し出を受け入れると、フィッシュラボレポートが説明する一連の一般的な用事を実行するために送られます。

しかし、「ある時点で、サイバー犯罪者が理想的に信頼と信頼性を確立した後、被害者には、知らないうちに盗まれた資金を移動させる任務が与えられます。」

(BleepingComputer記事より引用）※機械翻訳

キタきつねの所感

トランプ大統領は秋の大統領選に向けて、様々なてこ入れをしていますが、現実問題としてコロナ禍で、米国の失業率は過去最悪を記録しており、コロナ騒動がひと段落したとしても、この雇用情勢はすぐには元に戻らない可能性が高いかと思います。

新型コロナ:米失業率、戦後最悪の14% 4月の就業者2050万人減（写真=ロイター） :日本経済新聞

そんな中で、日本だと振り込め詐欺の末端、現金を受け取りに行く人がこの記事で言う「ミュール」です。

被害者に顔を見られる、あるいは感づかれると警察が待ち構えているので逮捕率が高い役目となりますが、一度に大量の出し子（ミュール）を配置する、様々な攻撃、例えばATMキャッシング（偽造カード）攻撃などでは、短時間に一斉に行動する出し子が必要となりますので、犯罪グループは常に自分の手足となって働く出し子（ミュール）を必要としています。

こうした出し子を使った攻撃は、例えば去年の7Pay詐欺でも話題となりました。

７ｐａｙ詐欺容疑で男逮捕電子マネー購入、警視庁 - 産経ニュース

７ｐａｙ詐欺容疑、日本語学校生の中国男逮捕静岡 - 産経ニュース

他人のセブンペイでたばこ購入詐欺容疑で留学生を逮捕：朝日新聞デジタル

セブンペイに不正ログイン、購入容疑中国籍の２人逮捕：朝日新聞デジタル

現在は「不要不急」の外出が自粛の米国や日本ですので、こうした物理的な店舗やATM等を狙った攻撃というのは犯罪グループ側もあまり考えてない様です。では犯罪者は今、何を狙っているのか？と言うと、資金洗浄の様です。

例えばビジネスメール詐欺で騙したお金を洗浄する為に、分割された資金の一部が出し子の口座に振り込まれ、ビットコインを買って、その情報をXXに送信すれば手数料（給料）が支払われる、といった手口です。少額の送金（不正送金）を何度も頼まれる事もあるかも知れません。

他人（犯罪者）のために自身の口座を使い、他人（犯罪者）に代わって金融取引を行う事で、自身の個人情報が漏えいするだけでなく、逮捕される犯罪行為になってしまう可能性が非常に高くなります。

気軽な副業・・・といった甘い言葉で誘ってくるかも知れませんので、留意が必要です。

どうせやるならリスクが少なくて実入りが大きい指示役になった方が良いかと思ｒｙ

余談です。リモート環境だけで犯罪が成り立つ、と言うこの記事をみていて、ふと星新一のショートショート「ものぐさ太郎」を思い出しました。

外出嫌いな男が、寝ていて電話口で話す事だけで”複数のビジネス”を成功させていく話なのですが、振り込み詐欺事件が社会話題化になる前に書かれたこのショートショート、電話をネットに置き換えると、現代のコロナ状況下でも通用すると思うと、星新一さんの先見性の高さに改めて驚きます。