CNNに衝撃的なニュースが出ていました。
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米オハイオ州クリーブランドの病院にある不妊治療施設で凍結保管庫が故障し、患者から採取した卵子などが全滅状態になった問題で、患者や家族らが起こした訴訟に対し、病院側は先週、法廷に提出した文書で賠償責任を否定した。
この施設では今年3月、無人状態の週末に突然、凍結保管庫の温度が上昇。遠隔警報装置のスイッチが切れていたために対応が遅れ、卵子と受精卵4000個以上が解凍されて全滅状態となった。
(CNN記事より引用)
◆キタきつねの所感
核戦争で人類死滅後XX年後に起きたらコールドスリープから無事に目が覚めたのは自分ひとりだけ・・といったハリウッド映画の初期設定のような事が、高度な管理体制が敷かれているはずの病院で発生してしまったのは残念な事です。
不妊治療で冷凍卵子・受精卵と言えば、かなり高額な費用を病院に払っているであろう事は想像できるのですが、病院側の監視体制に不備がなかったと言わんばかりの「賠償責任の否定」は、はたしてどこまで司法の場で通じるのでしょうか。
病院側の論旨としては、
病院側は文書の中で、人工授精にはいくつかのリスクが伴い、患者側もそのリスクを受け入れる同意書に署名していたと主張。故障の原因が人為ミスとは限らず、ミスだったとしても病院には予測不可能だったとして、責任を否定している。
(CNN記事より引用)
という事なのですが、同意書で想定される「リスク」なるものの中に、今回のケースが入っていたとは個人的には思えません。この裁判の行方は違う意味で気になるのですが、この事件で思ったのは、残念ながら病院の高度医療でも多重化/重層化(バックアップ)出来るところはすべきなのかも知れない、という事です。
費用UPの面では影響が出るかも知れませんが、今回の事件では、既に卵子採取が不可能な夫婦が長期保管を依頼していたケースもあるので、複数拠点で保管する、そんなセキュリティの世界では当たり前の事が、病院の売りになる時代も、もうすぐ来てしまうかも知れません。

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