Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

モリス・ワームとCERT

11月21日はインターネット記念日だったそうです。もうすぐインターネット(の原型)が登場して50年になるんですね。。。それはさておき、世界で最初のサイバー攻撃の記事がなかなか面白かったのでご紹介いたします。

nazology.net

1988年、ロバート・T・モリス氏が世界初のワームである「モリスワーム」を作り上げてしまったとき、彼はコーネル大学の大学院生でした。彼は、インターネットの大きさ、つまりどれだけの数のコンピューターをインターネットに接続できるかを知りたいと考え、コンピューターからコンピューターへ信号を送り、その数を計上するために各コンピューターから制御サーバーへ信号を返すプログラムを書いたのです。

このプログラムは、予想以上にうまく働きました。いや、「働きすぎ」ました。モリス氏には実際、通信があまりにも速く行われたら問題が生じることが分かっていましたが、彼が設定した制限は、大部分のインターネットを詰まらせることを防ぐには不十分でした。彼がこの事態に気づいた時には、システム管理者に問題の発生を知らせるために書いたメールさえ、送信することができない状態になっていたのです。

これこそが、分散型サービス妨害攻撃(DDos攻撃)と呼ばれるサイバー攻撃の最初の事例です。

(ナゾロジー記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

機能を良くしようと考える研究者は意図せずに、攻撃者になっている事もあるという例と言えるかも知れません。モリス氏のモリスワームは当時インターネットに接続していたコンピュータの1/10、約6000台を感染させ被害額は1000万ドルにも及んだといわれています。

※彼はその後MITの准教授、Y Combinator(スタートアップへの投資・教育企業)の共同創業者として働いていますが、今はリタイアしているようです。

当時とは違い、今やPCのみならずIoT機器までインターネットに繋がっており、当時の影響を考えると彼が実刑判決を受けずに、その後ホワイトの道を歩んだ事はインターネット発展に貢献があったと言えそうです。

彼のもう1つの功績は、モリス・ワームのあまりの被害に、カーネギーメロン大学『CERT』が作られたことでしょうか。

 

それでは、世界最初のサイバー攻撃ではなく、ハッキング・・・はどうだったのかな?と調べてみると、1903年の無線機の公開実験が最初とされているようです。(詳しくは以下の記事へ)

gigazine.net

技術の進展と犯罪(ハッキング)。便利な技術であればあるほど、いたちごっこである事は間違いありません。

 

因みに、世界最古のハッキングは・・・物語の中の話ではありますが、私は「千夜一夜物語」(アラビアンナイト)、「アリババと40人の盗賊」での呪文『開けゴマ』に一票投じたいところですが、、、どうやって扉が自動的に開くのか、認証機構が分からないところも含めて、ちょっと信憑性にはかけるかも知れません。

 

 ラクダのイラスト

 

 

更新履歴

  • 2018年11月24日PM(予約投稿)