Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

コロナウィルスと中国の電子監視技術

日本でもコロナウィルスの話題が尽きる事はありませんが、中国では「封じ込め」の為になりAI技術を積極的に取り入れようとしようとしている様です。

www.reuters.com

 

中国人は、世界で最も洗練された電子監視システムによって追跡されていることを長い間認識してきました。コロナウイルスの緊急事態により、そのテクノロジーの一部が影から取り除かれ、当局にハイテクな社会的統制の抜本的な方法の正当性が提供されました。

(中略)
顔認識会社のMegviiは、業界と科学省の支援を受けて、熱を持つ人々を見つけて識別する新しい方法を開発したと火曜日に述べた。サーマルカメラで温度を検出し、身体と顔のデータを使用して個人を特定する新しい「AI温度測定システム」は、北京地区ですでにテストされています。

別の大手AI企業であるSenseTimeは、マスクを着用している人を識別することができる以前の技術の弱点を克服できる、玄関の建物で使用される同様のシステムを構築したと述べました。監視カメラ会社のjiang江大華は、赤外線カメラで熱を0.3ºC以内の精度で検出できると述べています。

(Reuters記事より引用)

 

キタきつねの所感

映画と現実の世界の境目が曖昧になりつつある、そんな印象を受けるのが中国のコロナウィルスとの闘いです。感染者と死者の数が加速度的に増えつつあるので、封じ込めは厳しくなってきている気がしますが、AI技術を使って拡大を抑えようとしている点は、流石中国と思います。(※初期の段階で情報隠ぺいにより封じ込めを失敗したのも「流石中国」と思いますが)

プライバシー保護という観点で、欧州や米国(CA州)は政府等による電子監視システムの導入には厳しい面もありますが、中国では「世界で最も洗練された電子監視システム」が既に構築され始めています。

そのカメラにコロナウィルス対策という限定分野ではありますが、AI技術を導入し、例えば(隔離されているはずの)マスクをした武漢市の住民が(逃げ出して)他県に居るのを検知させたり、赤外線カメラやAI技術を使って「コロナウィルスキャリアー」を見つける事が可能な技術を実践投入しようとしている様です。

ビックデータ解析という点では、AI技術に特化した企業だけでなく、(日本も含め)携帯キャリアはずいぶん前からユーザの動きを追跡してきていますが、今回のコロナウィルスによって、感染が広がってない地域であっても、従業員が感染してないかどうか会社側も疑心暗鬼になる事は十分に考えられます。ロイターの記事にもう1点、興味を引く内容がありました。

通信会社は長い間、静かにユーザーの動きを追跡してきました。China Mobileは今週、これをサービスとして宣伝し、去30日間に自分がどこにいたかを確認できることを伝えるテキストメッセージを北京の住民に送信しました。ユーザーがこれを必要とする理由については説明しませんでしたが、当局または雇用主から旅行について質問された場合に役立ちます

(Reuters記事より引用)

 

武漢市に(旧正月の間であっても)滞在してない事を証明する為に、携帯キャリアが持つ位置情報履歴を”サービス”として販売する、この発想はありませんした。

 

コロナウィルス騒動が終息したら、中国は良い意味でも悪い意味でも新たなノウハウを得る事は間違いなさそうです。(中国加油!)

 

 

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 AIに支配される人達のイラスト

 

 

更新履歴

  • 2020年2月8日 PM(予約投稿)