英語ではRomance Fraud(ロマンス詐欺)と言いますが、コロナの影響を受けて人と人が会いにくい状況下で詐欺被害に遭う方が2020年1月~11月に前年比20%増であったと報じられています。
www.infosecurity-magazine.com
UK Financeの新しい数字によると、銀行振込のロマンス詐欺は2020年1月から11月の間に前年比で20%増加しました。
今年のバレンタインデーの直前に発表された業界団体は、被害者が本物の関係にあると確信した犯罪者に送金することに騙されたこのタイプの詐欺の総額が12%増加して£1850万になったことを明らかにしました。
さらに、英国の全国的な詐欺およびサイバー犯罪報告センターであるAction Fraudは、昨年ロマンス詐欺の被害者となった一般市民からの報告が増加し、報告された損失の合計は6,800万ポンドを超えたと述べました。銀行振込だけでなく、お金を失う他の方法には、詐欺師にギフトカード、バウチャー、プレゼントを送ったり、銀行口座やカードへのアクセスを提供したりすることが含まれていました。
(Infosecurity Magazine記事より引用)※機械翻訳
元ソース(UK Finance)
・Romance scams on the up during lockdown
キタきつねの所感
元ソースが金融系の業界団体UK Financeです。お堅い所からバレンタインデーを前に注意喚起が出た、つまりそれだけ騙される人が増えているという事なのかと思います。
※日本だと全国銀行協会(全銀協)や、日本資金決済業協会辺りからの注意喚起が出た様な感じでしょうか。
”銀行振り込み”をしてしまった被害者の1人当たりの平均損失は£7,850(約117万円)、被害総額は£1850万(約27億円)となり、単純試算すると約2,300人ですが、恐らく5000人~1万人程度は(少なくても)ロマンス詐欺に”引っかかった”という事だと思います。
また、Action Fraudの2020年データでは、銀行振り込みの他、送金、ギフトカード、金券、スマートフォンやラップトップ等のプレゼント送付の他、「銀行口座やカードへのアクセスの提供」によって、2020年の損失被害合計が£6800万(約98億円)を超えていると書かれています。
日本のクレジットカードの不正被害額(2020年上期)が、119億円で番号盗用被害額(非対面取引[CNP]での不正額)が102億円ですので、ほぼ同じです。
日本では、報道等にもそんなに取り上げられている印象はなく、ここまでの被害は出てないと思いますが、コロナ禍における『巣籠り』によって英国と同様な被害が増えていく事には十分警戒が必要かと思います。
先に推奨対策を書いておきますが、英国では詐欺から身を守るために「Take Five to Stop Fraud」キャンペーンにおいて、詐欺を見つけるポイントが挙げられています。この辺りは振り込め詐欺と同じ気がします。
■停止:お金や情報を手放す前に、少し立ち止まって考えてみてください。
■課題:それは偽物でしょうか?リクエストを拒否、拒否、無視してもかまいません。犯罪者だけがあなたを急いでまたはパニックに陥らせようとします。
■保護:詐欺に遭ったと思われる場合は、すぐに銀行に連絡して、アクション詐欺に報告してください。
詐欺師をなぜ信用してしまうのか?というのは人によって違うと思いますが、長時間のネット越しの会話で、自分の理想条件を演じる相手(詐欺者)を、運命の相手だと思ってしまい(ロマンス)、相手と一度も会った事がない状態で”(将来の)パートナー”の為に助けてあげる行為を、自分の中で正当化してしまっているのかと思います。
上記に挙げられたポイントの中で重要だと思うのが、詐欺師は「判断を急がせてくる」という事です。
急がせてくる事について「運命の相手」は色々と理由をつけてくるとしても、何か矛盾点があるはずです。
それを自分で気づけないのがロマンス詐欺(ネット婚活詐欺)だとすれば、親しい知人や家族に、それとなく状況を話してみると、冷静な意見が聞ける(詐欺を見抜ける)かも知れません。
以下の事を言われたら、詐欺を疑う。その位の身構えが重要です。
■彼らにお金を送ってください
■彼らにあなたの銀行口座へのアクセスを許可する
■彼らに代わって送金する
■彼らのためにローンを組む
■パスポートや運転免許証などの個人文書のコピーを提供する
■彼らに代わってまたは彼らのアドバイスのためにあなた自身のお金を投資してください
■AmazonまたはiTunesからギフトカードのコードを購入して送信します
■彼らに代わって小包を送受信することに同意します(ラップトップ、携帯電話など)
(UK Finance注意喚起より引用)※機械翻訳
また、それ以前にやっておくべき点があるかと思います。オンラインデート協会のジョージキッド氏は、「動画確認」と安全なプラットフォーム上での「会話」を推奨しています。
ODAメンバーは、人間とテクノロジーのコンテンツモデレーションを使用して、ユーザーの安全を維持するよう努めています。多くのサービスでは、デートをする人が「自分撮り」やビデオを使用して、他の人の身元を確認できます。これらのサービスは、管理されたスペースでのチャットを可能にするメッセージングプラットフォームを提供します。デートをする人は、この安全な環境を最大限に活用し、オンラインの時間は、直接会ったことのない人と知り合うための始まりであることを忘れないでください。出会い系サイトの外で誰かがあなたにお金を要求した場合でも、遠慮なく報告してください。
(UK Finance注意喚起より引用)※機械翻訳
前者は例えばLINEやZoom等で動画でのコミュニケーションを図る事を指していると読み替える事ができます。詐欺プロフィール写真を詐欺師が動画で偽装するのは中々難しいので、色々と理由をつけて「断ってくる」かと思いますが、そこが重要な判断材料となるかと思います。
※動画でのコミュニケーションは人によってはもろ刃の剣かも知れません。奇跡的に撮った、あるいは大幅に加工したプロフィール写真の”詐欺”も露呈する可能性があります。
この手の詐欺では身元を隠しやすい、あるいは自分たちの(本物っぽい)デートアプリを偽装した詐欺プラットフォームに誘導されて、(会話に)課金を要求されたり、AIボットによる詐欺会話に持ち込まれてしまうケースもある様ですが、相手から違うサービスへの移動を促されても、無料、あるいは有償であっても信頼があるサービスを利用する(相手の不審な要請を断る)事で、こうした詐欺リスクは軽減できるかと思います。
最後に、詐欺プロフィール写真は、自身の写真を修整したものはともかくとして、詐欺師が使うプロフィールはネット上に公開された誰か違う人のものが流用されているケースが多いかと思います。
こうした”事前調査”にはGoogle画像検索が有効です。
www.google.co.jp
台東区のバーチャル背景として公開されていた画像をサンプルとして使いますが、
プロフィール写真等、検索したい画像を検索欄にドロップするだけで・・・
ほぼ正解(であろう)類似写真が出てきます。偽プロフィール写真だった場合、この検索によって詐欺者とは別の方のSNS等のプロフィール写真が出てくるかと思います。
何か過去に似たようなニュースを読んだな・・と思ったのですが、昨年ハニートラップ(ロマンス詐欺)の記事を書いてました。偽アプリの手口や、偽プロフィール写真のひっかける詐欺手口に関しては以下の記事を参考にして下さい。
foxsecurity.hatenablog.com
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