Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

withセキュリティの「好奇心」

本日も様々なセキュリティ関係の記事を読んでいたのですが、セキュリティとはあまり関係のないこの記事が気になりました。

japan.zdnet.com

 米SAS Institute(SAS)は、最新調査レポート「Curiosity@Work」を発表した。「大退職時代」(the Great Resignation:経済活動の回復や労働者の志向の変化によって欧米などで見られる転職者増加の動き)を迎え、ビジネスリーダーは貴重なスキルとして「好奇心」の重要性を認識し始めている。組織の大きな課題として従来取り上げられていたのは、従業員の流出防止や仕事の満足度向上、より革新的で協力的、生産的な職場づくりといったテーマだったが、これに従業員の好奇心が加わった

 SASは2021年8月19日~9月5日、ブラジル、ドイツ、インド、シンガポール、英国、米国の企業マネージャー1973人を対象にアンケート調査を実施。同調査では、直属の部下を3人以上持つ個人をマネージャーと定義し、調査対象のマネージャーは金融サービス、小売/消費財、製造、ヘルスケア/ライフサイエンス、政府機関のどれかに従事している。併せてLinkedInの協力のもと、ビジネス特化型SNSへの投稿とスキル情報において、好奇心に関連するキーワードへの言及と、そうした投稿へのエンゲージメントを調査した。

 同レポートでは、好奇心を「新しい情報や経験を求め、新たな可能性を追求する衝動」と定義し、それが組織内の職務や職位に関係なく重要であると強調している。調査では、マネージャーの72%が好奇心は従業員の特性として貴重であると考え、59%が好奇心はビジネスインパクトの原動力になることに同意し、51%が好奇心の強い従業員ほど良い成果を上げているとしている。

 

キタきつねの所感

私も、入社以来現在の会社から動いた事が無い、いわゆる社畜生活が長い人間なので、コロナ禍などによる環境の変化で、新天地を目指して転職する人が自分の身の回りにも出ている中でも、どうしても考え方が保守的になっています。

 

SASの調査は(ベースがLinkedInという事もあり)日本のサンプルが入ってないので、日本の傾向はどうだろうと気になりますが、好奇心という視点は、あまり気にした事がありませんでした

しかし、海外データでは、好奇心旺盛な従業員が良い成果を上げている、とマネージャーが客観評価しているとすると、今後日本でも重要な評価ファクターになってくる可能性は十分に考えられます。

 

調査で書かれている「好奇心」のポイントとは違うかと思いますが、OSINT(Open Source Intelligence)=公開情報分析というのも、なんでなんだろう?これ矛盾があるな・・・といった公開情報に対する「好奇心」が無いと、情報と情報の紐づけ、あるいは周辺情報からの推測による深い洞察にたどり着けない気がします。

 

一方で、マネージャー(管理職)は、好奇心が強い部下を育てるのに、ノウハウがほぼ無い様です。

 好奇心の価値が認識されるようになった一方、多くの企業では従業員が持つ好奇心をスキルとして活用すると競争優位性が上がり得ると理解することには進化の余地がある。好奇心に価値があることを全てのマネージャーが認めているわけではないため、多くの組織では日常業務の中で好奇心を効果的に伸ばして活用することに苦戦しているようだ。実際、4割以上のマネージャーは、就職志望者・直属の部下において、好奇心の旺盛度を見極める方法をほとんど、あるいは全く持ち合わせていないと感じている。

ZDnet記事より引用)

 

緊急事態宣言下で外出が極端に制限されていた頃、個人的に部下や同僚に対して、良い習慣だと思って勧め、雑談中心の会議で聞いていたのが、「書店に行く」「街に散策に出る」事と、「面白いネット情報(雑談ベース)」を探す事でした。

これが効果を上げた・・訳でも何でも無いのですが、新しい刺激を得るには自分が「動く」事を習慣化する事はとても重要だと思います。

元々好奇心旺盛の方ならともかく、その重要性を身に着けるには自分を変える”強制的”な行動も必要な気がします。

※因みに、巣籠生活で私が始めたのが、セキュリティニュースチェック(OSINT)の記事配信の強化です。外の情報に触れる事を意識して、編集まで含めるとほぼ毎日3時間程度の時間を費やして”好奇心のタネ”を探しています。

 

評価している側のマネージャー(管理職)の真価が問われる気もしますが、好奇心という要素が重要だと思うのであれば、自身の行動も好奇心を(多少は)重視する様に変えていかないと、チームとしての成果は上がっていかず、好奇心旺盛な貴重な部下を”他社”に逃してしまうかも知れません。

 

 

余談です。この調査にはデータとして挙がっていませんが、「好奇心」が強すぎる(だけ)のも、ビジネスという分野では向かないと思います。恐らくそれは「研究職」であるべきで、”収益を重視”する上長や経営層から見ると、”リソースの無駄”と判断される可能性が高いかと思います。

つまり、ビジネスで成果を上げるには、時間リソース配分が上手い、という隠れファクターが必要不可欠なのだと思います。それは時間配分であったり、締切であったり、本来やるべき業務とのバランスを考えた上での「好奇心」の重要性なのかと思います。

 

当ブログも、諸々バランスを取りwithセキュリティの好奇心で良い記事をもっと書けるようになれればと思います。

 

本日もご来訪ありがとうございました。

Thank you for your visit. Let me know your thoughts in the comments.

 

スーツを着た男性のイラスト(疑問に思う顔)

 

更新履歴

  • 2021年11月26日 AM