Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

大阪府警は万引きGメンに敗北した

急に逮捕ニュースが飛び込んできてびっくりしましたが、不手際があった大阪府警は府警として捕まえる事ができませんでした。

www.asahi.com

◆キタきつねの所感

大阪府警が自組織で捕まえたかったかも知れません。ですが、結局は捜査網をくぐられ、山口県周南市の道の駅『ソレーネ周南』で1000円程度の万引きを万引きGメンに見つかり、山口県警に逮捕されました。Googleで調べると主要街道をまっすぐ大阪から山口まで行ったとして450-460km、愛媛の道の駅で自転車旅同行者と知り合ったという記事が正しければ、しまなみ海道経由で山口まで行ったのだろうと推測されますが、その場合でおよそ500kmを逃走した事になります。

黙秘する様ですので、逃走経路については未だ不明ではありますが、大阪近郊でのバイク引ったくり事件があったが故に、警察の監視が自動車やバイクになっていた事は十分に予想されます。そんな中、台数が多くて監視しきれない自転車が逃走手段として選ばれたのは、大阪府警としては裏をかかれたとして反省すべき事だろうと思います。

今回の逮捕については、警察視点でみれば運が良かった、その程度かと思います。公開された写真・似顔絵と逮捕後の写真を見ると・・・日焼けと坊主頭、髭の影響もあると思いますが、同一人物として把握しずらかったかと思います。

news.livedoor.com

dot.asahi.com

 

自転車で逃走する際に、今回逮捕された『ソレーネ周南』等の道の駅を含め有人環境を通っている訳ですが、目撃情報として警察が把握する事はありませんでした。つまり

  • 万引き事件がなければ
  • 万引きGメンが見つけてなければ
  • 万引きGメンが警察を呼んでなければ

そして、逃走資金さえもっと豊富にあれば、樋田容疑者は、九州まで逃げていた可能性すらあるのです。

そもそも、一番気づいてもおかしくない3週間同行していた40代の無職男性は自転車を盗んだ罪で逮捕されていますが、樋田容疑者であった事に気づかなかったと供述しているようです。(本当かどうかは分かりませんが)

www.sankei.com

大阪府警の監視不手際を別にして、逃走する犯人(容疑者)はマスコミにリークされる写真や似顔絵等の情報を見ている可能性があるだけでなく、樋田容疑者の様に、知人宅・空き家等への潜伏、バイクでの逃走(ひったくり)等の情報で、初期捜査をかく乱されてしまう可能性も考えて、大阪から出たとして、捜査範囲を幅広くしておけば、初期の段階(人相もあまり変わってないうちに)で捜査網に引っかかったのではないでしょうか?

それが難しかったとしても、48日の逃走。ひったくりのお金が5万円程度で、逮捕時の所持金が280円。自転車客が来てもおかしくない道の駅などを転々とし、食事を万引きでしのいでいたのだとすると、警察はそうしたルートには警戒が薄かった(ふいを突かれた)のかも知れませんが、足跡は出ていた気がします。

 

foxsecurity.hatenablog.com

また、道の駅で捕まった2人は、盗難自転車という共通点があった訳ですが、今回の逃走劇、もし自転車ファンに有名なしまなみ海道を通って・・という事であれば、そのルートがノーマークであった(監視外だった)のも、影響したかも知れません。

 

※10/1追記

どうやら樋田容疑者は常にサングラスをつけていたとの報道がありました。やはり捜査の似顔絵等を意識しての行動な気がしますね。しかし、別な疑問も。。。どうやってサングラスや自転車に搭載されたテント等のグッツを手に入れたのか?逃走ルートは・・・自転車を愛媛にどうやって持ち込んでいったのか?(逃亡を補助した第三者がいるのでは・・・)もう少し情報をウォッチしたいと思います。

 

 自転車便のイラスト

 

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  • 2018年9月30日PM(予約投稿)
  • 2018年10月1日AM サングラス着用報道を受けて追記

ウーバーは高い授業料を払う

去年のウーバーの続報記事が出ていました。

forbesjapan.com

2016年にウーバーはネットワークにハッカーの侵入を許し、世界5700万人(2500万人が米国人)の個人データが盗まれていた。

それから2年が経過した9月26日、ウーバーは1億4800万ドル(約170億円)の和解金を支払うことで、全米50州と合意した。「ワシントン・ポスト」によると、情報流出に関連する政府との和解金としては米国史上最大の額だという。

(ForbesJapan記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

去年に記事を書いていますが、ウーバーはハッカーに対し10万ドルの口止め料をバグ報償金プログラムを使い(悪用し)支払い、事件を当初隠蔽しようとしていました。それが新しいCEOの元で改めて社内調査し、事件が公表されたのですが、結果として高い授業料となってしまった感があります。

 

ハッキングを受け、個人情報を漏えいしてしまう事というのは、今やどの企業にもリスクとして普通にある事になってしまってますが、5700万人の個人情報に対して1億4800万ドルのペナルティ(和解金)というのは、事件を隠蔽しようとしたウーバーに対し、企業が果たす社会的責任が厳しく問われたと言えるかも知れません。

単純比較ができるものではないかも知れませんが、

  • Target(2013年): 4000万件漏洩で47州との和解金が1850万ドル 
  • Anthem(2015年) : 8000万件漏洩で集団訴訟への示談金が1億1500万ドル 

であったとされています。1人当たりの漏洩コストと考えると、

  • Target:  1件当たり0.46ドル
  • Anthem:  1件当たり1.44ドル
  • Uber:   1件当たり2.59ドル

となるのですが、年々漏洩に対する和解/示談コストは上がっている事は注目すべきだと思います。

企業がきちんとしたセキュリティ対策を含む、社会的責任を果たさない場合のコストは上昇しつつあり、今後もその傾向は変わらない事をよく考えるべきなのではないでしょうか。

 

foxsecurity.hatenablog.com

foxsecurity.hatenablog.com

 

壁に追突した車のイラスト(事故)

 

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  • 2018年9月29日PM(予約投稿)

3DESが消えていく

この記事を見過ごしてました。そうですか、ついにDESが消えていきますか。

tech.nikkeibp.co.jp

1970年代に登場し、暗号アルゴリズムの標準として長年にわたり使われてきた「DES(Data Encryption Standard)」が、いよいよ完全終了に向けたカウントダウンに入った。米国立標準技術研究所(NIST)が2018年7月19日、DESを強化した暗号アルゴリズムである「3DES」について、これから開発するアプリケーションで採用することをやめ、2023年以降は使用を禁止することを提案したからだ。DESの流れをくむ暗号アルゴリズムの中で、暗号強度の面で現在も唯一有効な3DESが使えなくなることで、DESは表舞台から完全に姿を消すことになる。

(日経XTECH記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

数多ある暗号化アルゴリズムの中で、DESはしぶとく生き残った方ではないでしょうか。現在の主流はトリプルDES(3DES)になって暗号強度を増したとは言え、1970年代に登場している訳ですから。

今でも、クレジットカードなどでは一部の工程で標準的に使われていますが、使い勝手がよかった(実装が楽で強度がある程度あった)からここまで長く引っ張れたという事が言えるかも知れません。

 

NISTのドラフトでは2023年には3DESを使用禁止にする案が提示されており、NISTは日本のセキュリティ基準の多くが参照している事を考えると、共通鍵暗号方式はAESに集約されていく事になりそうです。

 

日本国内での参照資料という意味では、(こちらもNISTを参照してますが)電子政府推奨暗号リスト、いわゆるCRYPTRECがあります。こちらがどうなっているかな・・と見てみたのですが、2018年7月11日版が最新で、既にこのリストでは3DESは掲載されていません

※改訂されたはずなのにリストの日付が変わってない気もしますが・・・

 

■CRYPTREC暗号リスト(平成30年3月29日版)

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NISTもドラフト版ですので、まだ変わる可能性はあるのかも知れませんが、DESの引退はほぼ確定だと思います。

考えてみれば、パスワードがMITで発明されたのが1960年代、その少し後にDESが登場してきた訳ですが、昨今の早い流れとなっているセキュリティ事情を考えると、これほど長く使われるセキュリティ手段は、今後はそんなに出てこないかも知れませんね。

 

カードリーダーにカードをスワイプする人のイラスト(女性)

 

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  • 2018年9月23日PM(予約投稿)

シンガポールは先を行く

政府の医療DBがサイバー攻撃を先日受けたばかりのシンガポール、しかし彼らはそうした事件をも乗り越えて、日本の先を行くようです。

www.asiax.biz

シンガポール東南アジア諸国連合ASEAN)・シンガポール・サイバーセキュリティー研究センターを開設する。ASEAN加盟国のサイバー戦略、法律整備、研究能力の強化を支援するための研究所だ。テオ・チーヒアン副首相が第3回シンガポール国際サイバー週間で発表した。

研究センターでは、コンピューターへの不正アクセス脆弱性など、コンピュータセキュリティーのインシデントに対応する活動を行う組織(サート)に研修を施し、情報共有を推進する。

テオ氏は「サイバー上の脅威はグローバル的であり、一国ではこうした脅威に対処できない」と一致した取り組み、脅威へのASEAN全体の対処能力の強化を訴えた。

シンガポール政府はまた、政府コンピューターシステムの弱点を突き止めるため今年末、バグ発見に報奨金を給付するプログラムを実施する

国内外からホワイトハッカー(コンピューターやネットワークシステムにテストなどの目的で侵入し、セキュリティー上の欠陥を調べたり、悪意をもったハッカーによる不正侵入を監視したりする善意のハッカー)を招待し、インターネットに接続している政府のシステムに侵入してもらい、脆弱性を洗い出す。

(AsiaX記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

シンガポールは強かである。そう感じるのは私だけではないかも知れません。余談ですが、今年6月の米国トランプ大統領北朝鮮の金委員長との会談がシンガポールで行われ、北朝鮮の会議関連費用はシンガポール政府が負担したのですが、この費用の約13億円の内、10億円程度は実は回収が出来ているのだそうです。

www.nikkei.com

最大の『収入』はメディアのライセンス(取材)フィーであったり、ホテル滞在費用なんだと知り合いのシンガポールの方に教えてもらいました。

一方、会議で一番費用がかかったのは警備費用なのですが、これも公共事業(国内投資)と考えてしまえば、実はシンガポール政府としては3億円程度の真水で景気刺激策を実施できて、なおかつ金委員長の1泊66万円のホテル代まで払って『国際的な評判も高めた』と言えそうです。

 

さて、今回の東南アジアのサイバーセキュリティ強化のための研究所開設のニュースですが、東南アジア諸国の中で一番能力の高いシンガポールがこの分野でも東南アジアを牽引する、つまりサイバー情報戦略のハブになるという構想の1手なのだと思います。

そうした連携の取り組みもさる事ながら、政府のコンピュータシステムへのバグ報償プログラム導入(年内実施)も、事件が前向きに捉え、世界中で奪い合いになり始めている優秀な(英語圏の)ホワイトハッカーの取り込みという点でも日本は先を行かれてしまった、そんな風に感じました。

 

コンピューターのセキュリティホールのイラスト

 

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  • 2018年9月23日PM(予約投稿)

大学は事件発生をきちんと公表しているのか?

大学のセキュリティが一般企業に比べて・・・というのは最近も定期的に事件発表があるので知っていたのですが、実は3割がサイバー被害を受けていたと日経に書かれてました。

www.nikkei.com

 国立大学の3割が過去3年間にサイバー攻撃による情報漏洩や業務停止の被害を受けたことが分かった。海外からとみられる高度な「標的型攻撃」が増えており、今春には東京大などが加わる海洋政策に関する政府会議で情報流出が起きた疑いが取材で明らかになった。国立大は日本の研究力の底上げ役を期待されるが、企業などに比べ安全対策は甘い。国を挙げた産官学連携の弱点として国立大が狙われている。

 

 日本年金機構で大量の個人情報が流出した2015年度以降、不正アクセスなどのサイバー攻撃があった」大学は87%に上り、うち34%が情報漏洩などの実被害があったと答えた。特徴的なのは2割強の大学が特定人物を狙う標的型攻撃を受けたとした点だ。
 実際に今年3月、政府の海洋政策に関わる大学教授を狙った攻撃によって、関連情報が漏洩した恐れがある事故が明らかになった。

攻撃では東大や九州工業大などの教授数人が狙われた。攻撃者は政府の有識者会議「総合海洋政策本部」事務局に所属する内閣府職員になりすまし、偽装メールを送信。「意見書の比較につき、情報共有します」との文面で、添付ファイルを開くとマルウエア(悪意あるプログラム)が情報を盗み取る仕組みだった。

(日経記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

興味深い調査データです。サイバー攻撃により3割は個人情報漏えい等の実害があった。この数字は一般企業の受けている数字と大きな差分は無いかも知れません。しかし、一部の大きく取り上げられた事件を除いて、大学の事件報道(USBメディア落しました、メール誤送しました・・・を除く)はあまり多く見てきた印象がありません

日経の記事では、主なサイバー攻撃攻撃被害として、東大3.6万件の個人情報漏えい、北海道大学不正アクセス、富山大の原発関連研究成果流出、大阪大学の8万件の個人情報流出/外部サイト改ざん、東大・九州工業大などの標的型メール、島根大・弘前大の個人情報流出、を挙げていますが、もっと事件として公表されなければならなかったものが、出てきてないのではないか?そう感じるのが3割が被害を受けた、とう調査データへの印象です。

もしかすると、マルウェア被害の影響調査を最小限で切り上げて、初期インストールしてしまった(その場合は個人情報が漏洩したかは分からなくなる)ケースも混じっているのかも知れませんが、大学関係者『も』サイバー攻撃で狙われているという現状に対して、事件が正しく発表されない事、あるいは正しく調査されない事によって、他の研究機関も同様な被害を受けてしまっているではないかと危惧します。

特に企業との共同研究などを行う大学の組織は、自分だけでなく、他者の重要資産(特許情報・技術情報)まで影響を受けかねないという事を認識して、セキュリティ対策を再点検すべきではないでしょうか。

 

foxsecurity.hatenablog.com

 

 後出しジャンケンのイラスト

 

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  • 2018年9月23日PM(予約投稿)

ホテル予約ミスは自己責任

スウェーデンでホテルの予約を1日間違え、ホテル(バーのソファー)での仮眠をホテル側に断わられた中国人観光客の問題が外交問題化していました。とは言え、これを外交問題化するならば、中国政府は毎日、他国にクレームをつけなければらないレベルなのですが・・・。

www.recordchina.co.jp

ホテルとの交渉に敗れた観光客が女性警官2人に担がれて外に出される動画も出てきています。

dai.ly

中国人の曽(ズン)さんと両親の3人は今月2日未明ストックホルム市内の宿泊施設に到着した。チェックインが可能になるまでまだ時間があったため、両親の体調を心配してロビーの椅子で休憩したいと伝えたところ、「すぐに出て行け」と言われ、警察に通報された

曽さんは警察官に両親が服用している薬について説明し、両親だけでもホテルのロビーに留まらせてほしいと訴えた。だが警察官は曽さんの父親を椅子の上から抱えあげてホテルの外に放り投げるなどし、最終的には3人を警察車両に載せ、数十キロ離れた墓地に置き捨てにしたという。

(Record China記事より引用)

 

最初は「人権侵害」と憤っていた中国側も、上記の動画や、事件の続報が入るようになり、「実は真実は違うのではないか・・・」と思う人も増えてきているようです。

 

2018年9月17日、網易は、スウェーデンで中国人観光客がトラブルを起こし、中国のネット上から「ビッグベビー」などの批判が飛び出す一方で、現地の中国大使館が明らかにした実際の状況を紹介した。

記事は「中国人観光客一家3人がスウェーデンで粗暴な扱いを受け、ネットユーザーから激しい憤慨の声が出た。しかし、その後拡散した動画によって『ホテルで一泊追加するのにお金を払おうとせず、狭いロビーに居座ってホテルの営業に大きな影響を与えた』と伝えられると、中国国内のネットユーザーはほぼ一辺倒にこの中国人観光客について『ビッグベビー』『中国人の恥さらし』などと非難し始めた」とした。

そして、この一件について、スウェーデンにある中国大使館は「当該中国人とその家族はもともと、9月1日に現地ホテルにチェックインするつもりだった。しかし、中国人は予約を取り間違えており実際には2日のチェックインとなっていた」と説明。1日深夜にホテルに到着したものの部屋は予約でいっぱいだったため、中国人は「使用料は払うので、1階のバーにあるソファで時間を過ごさせて欲しい」と頼むも、ホテル側は同意しなかったと伝えている。

(Record China記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

動画を見ると、観光客がホテルからつまみ出された後に、女性警官が触ってもいないのに倒れこむ男性の姿も映っています。(※中国ネットユーザの一部は「オスカー間違いなし」とコメントしてました)この画像を見る限り、ホテルあるいは現地警察の対応は普通だったのではないかなと思います。

 

一方で、事件報道を受けて中国政府の外交部は、早々に「中国側はスウェーデン側に対して、中国側の懸念を重視し、適切な措置を講じて中国人観光客の安全と合法的権益を保障するよう求める」と表明してしまいます。

www.recordchina.co.jp

レコードチャイナの記事によれば、

 ①中国人のロビー待機が認められなかった

 ②中国人旅行客の内2名が高齢で、1名が病気だと説明したのに警察に強制排除された

 ③警察は3人を郊外の墓地に連れて行き放置した(深夜で気温は10度以下)

事が人権侵害である、との中国外交部の主張だったようですが、

①に関しては、ホテル側はセキュリティ上の理由で、満室時に予約が無い客の滞在を断われる権利があるのは当然な気がします

事件が起きた2日深夜は日曜日ですホテルの対応人員も少なくホテルのバーもクローズしている時間帯であれば、どう考えるでしょうか?人道的理由で仮に滞在を許してしまい、その滞在客が(更に)問題を起こしたらどうなるのでしょうか?ホテル側には正規宿泊者の安全を守る事が求められる訳ですが、この旅行客3名が仮にテロリストだった場合、中国政府は同じ事を言えるのでしょうか?私は難しいのではないかと思います。

ホテル側には当然の事ながら、中国人旅行客がフロントやロビーで激しく騒いでいたカメラ映像が残っているものと思います。(敢えて出さないのではないでしょうか・・・)その経緯部分はホテル側は公開しておらず、上記SNS等々映像には映っていませんので推測となりますが、当該の中国人旅行客は『相当ホテルフロントと交渉した』のではないでしょうか?煩くロビーで深夜に騒ぐ不審な客がいれば、警察を呼ばれてしまうのは当然だと思います。

仮に、他国まで来て中国式の交渉をしていた(ゴネていた)のだとすれば、私は旅行客の自業自得の結末だったのではないかと思います。

②については、そもそも病気の高齢者を考えるのであれば、ホテル予約をきちんと取るべきであり、その予約を取った人、あるいは旅行代理店を使っていたのであれば、予約日が違う事を注意しなかった旅行代理店に文句を言うべきであって、ホテルや現地警察ではないと思います。

病気であろう、女性が2名の警察官によって運ばれている姿も映っていますが、、乱暴に移動されたというより、ホテルに居座ろうと抵抗している女性を仕方なく動かしている程度にしか見えません。

外に出されても、男性旅行客は殺人だ!』と周囲に騒ぎたて、警察官の暴力まであったように見せかけた姿が映像に残っていますが、、女性警官2名は何もしてないようにしか見えません。

この程度で外交問題になるならば、中国人観光客の多くが、色々な意味で海外諸国から制約を受けてしまう未来しか思い浮かびません

③最終的に3人の旅行客は警察車両で観光墓地に置き捨てにされたと主張しますが、スウェーデン側は公園のような所だったと説明しており、近くに教会が運営する24時間の一時宿泊施設地下鉄の駅が近い場所だったようです。そう考えると、警察は安全な場所に運んでくれようとしただけであり、残念ながら観光客側が(興奮して?)英語でのコミュニケーションが不十分であった事から、墓地と勘違いしただけなのかなと思います。

 

ホテルは保安上の理由で満室時にこうした対応を取るのは当たり前と考え、もっと早くホテルに到着するスケジュールを組むか(それなら代替案はもっとあった事でしょう・・・)、もしくは、空港に留まっていたら仮眠程度は出来たのではないかなとも思います。

 

モーニングコールのイラスト

 

 

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  • 2018年9月23日AM(予約投稿)

空撮は企業を丸裸にする

テスラは注目が高すぎるためか、セキュリティを考える上で変わった視点の素材が提供され続けています。ある意味イーロン・マスクCEOには不幸な事かも知れませんが・・・

www.sbbit.jp

“空”から判明した、テスラの生産体制
──テスラは実際に目標を達成したのか。

ダイアモンド氏:『モデル3』を4~6月期に重点的に見てきたが、ほとんどの期間にわたってほぼ生産できておらず、「目標達成は難しい」と見ていた。だが、6月最後の2週間で急激に生産がアップして、目標としていた台数をギリギリのところで達成できたのが、写真の解析で観察できた。達成はできたのだが、テスラにとっては大変困難であっただろう。

──どのような方法で生産台数を確認するのか。

ダイアモンド氏:人工衛星を活用したリモートセンシングを行う米デジタルグローブDigitalGlobe)が撮影して販売する画像を使っている。高解像度で地上の35センチメートルの物体が確認できる。

 特にテスラに関しては投資家の関心も高いので、衛星写真に加えて飛行機から撮影した航空写真も使用している

 カリフォルニア州フリーモントにあるテスラの工場の場合は、航空写真のほうが安くつく。航空機なら日中夜間いつでも極めて解像度の高い撮影ができるので、週3回から5回、上空を飛んで写真を撮影する。これらを総合的に分析して、生産台数を正確に割り出せるのだ

(ビジネス+IT記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

記事の前半は端折りますが、テスラは2018年4月~6月期の「モデル3」製造目標を約2万台としていたが、達成が危ぶまれていたため、投資家が製造状況についてRS Metrics社に依頼して、テスラの出荷場の衛星写真や航空データを分析して、正式発表前に『どうやらテスラは目標をギリギリ達成したらしい』事を突き止めました。

このRS Metrics社のビジネスモデルは非常に面白いものがあります。

記事を読無限り、今回の分析手法は出荷場(大きな駐車場)の航空写真に車がはっきり映っているので、「モデルX」「モデルS」「モデル3」を識別し、停車している車がいつから置かれているかなどをAI分析して出荷台数をはじき出したようです。テスラの工場はカリフォルニア州フリーモントにあり、屋根が無いので、こうした写真が分析に使えたようです。GoogleMapのデータで見ると、、、

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こんな写真が読み取れる(※テスラ工場の画像です)わけですが、毎日こうした高精度な写真データを集め、AI分析をする事で様々な推測ができるのは非常に面白いと思う反面、企業によっては上空対策が必要となり、頭が痛いのではないかなと思います。

 

RS Metrics社は、元々は違う分野から知見を貯めてきたようです。記事には、

ウォルマートマクドナルドの来客傾向も分析
──業績予測は、どのように導き出すのか。

ダイアモンド氏:重要なのは、我々は衛星写真を売っているのではなく、分析結果とビジネス予測を販売しているということだ。

 この事業を始めたきっかけは、ある金融企業からの依頼だ。「買収先となる企業のマレーシア工場が、実際には稼働していない『詐欺案件』かもしれない。調べてくれないか」と。これがきっかけとなり、デジタルグローブの画像アーカイブを利用できる契約を結んだ。

 手始めに小売分野でスーパー大手のウォルマート、ホームセンター大手のロウズとホームデポ、ファストフード大手のマクドナルド駐車場に止まっているクルマの数を分析し、その来客傾向を分析するようになった

 (ビジネス+IT記事より引用)

 

とあり、その応用が今回のテスラ社の分析という事になる訳ですが、こうした企業の動向(来客等の車動向は特に・・・)は企業の収益予想が、かなりの精度で出す事ができるようになるかも知れません。大口投資家が欲しい情報、と考えるとこの会社は更に役割を増しそうな気がします。

 

自動車分野では、同様な分析手法で、トヨタ・日産の主力工場の出荷場、あるいは港での積み荷情報を分析が可能だと思いますし、新型iPhoneの売れ行きであれば、もしかすると部品製造工場の従業員駐車場を定期的に見ていけば、工場での労働力推定ができるかも知れません。

現在の空撮技術では、まだ車程度の大きさがないと分析精度が出ないかもしれませんが、スパイ衛星あるいは空撮のカメラ画素数は更に向上していくと考えれば、企業が空から丸裸にされる、そんなAI(ビックデータ)分析はすぐそこまで来ているのは間違いなさそうです。

 

人工衛星のイラスト

 

 

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  • 2018年9月23日AM(予約投稿)