Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

試験での不正を考える

試験での不正はイタチゴッコでありますが、スマホだけでなく、最新の機器が使われる可能性がある事を考えていく必要がありそうです。

www.sankei.com

 

 大学入試センターは20日夜、スマートフォンを使って用語を調べるなどの不正が2日間で計4件あったとし、関わった4人を全科目受験無効処分にしたと発表した。4人とも不正行為を認めているという。

 不正行為の内訳は、スマホ使用2件▽定規使用1件▽試験終了後のマークシート記入1件。センターによると、このうち宮城県の会場では20日、理科(2)の試験中に1人がスマホを使い、インターネットで用語を検索していた。三重県の会場でも理科(2)で1人がスマホの計算機能を使っていた

産経新聞記事より引用)

 

◆キタきつねの所感

幸いにして、そうレベルの高い不正ではなかった様です。ガラケーでも同じ事は出来たのかと思いますが、最近のスマートフォン、あるいはスマート家電は音声認識も使う事ができますので、日本でも発見できてない手法で不正は既に行われているかも知れませんし、今後も摘発されるケースが増えていくものと思います。

 

テストでの不正は海外の方が進んでおりある意味もっと大々的です。今回のケースは試験管が気づきやすいものであった計算機能(動作が不自然だったか、試験管の巡回でしょうか)とスマホでの用語検索(スマホ画面の光が漏れていたか、試験管の巡回でしょうか)という単純なものでしたが、アップルウォッチ等のハイテク時計がいち早く禁止されたように、学生側も色々と考えてきます。

 

検索や計算機機能を使う以外にも、例えば公式や単語集などのカンニングメモを別に作っておいたものを、アップルウォッチでテキスト表示させる様な手法も既に公開されています。

www.youtube.com

 

さすがにアナログでない時計は試験で禁止するケースが多いかと思いますが、禁止要件がゆるい一般のミニテスト等では、未だに有効な不正手法かも知れません。

 

時計だけでなく、ネットで検索してみると様々なハイテクカンニング機器が出てきます。例えば北京で摘発された、消しゴム型のディスプレイ受信機は、そこまでやるのか・・・と考えさせられます。

テキストメッセージを30秒表示させる不正手法法なのですが、消しゴムに偽装しているのでケースを被せると、見つけるのは難しそうです。

www.fnn.jp

 

同じ記事で、もう1つの手法が紹介されていましたが、極小イヤホンは・・・一度入れると強力磁石でないと取り出せない大きさの様ですので、試験管がカンニングを見つけるのは非常に難しいかと思います。

 

消しゴムもイヤホンも、不正の回答を配信する協力者がいなければ役立たない訳ですが、内部に協力者を置く場合は、すべての問題に自力で正解を導きだせる人が、回答を音声で配信するか、電波発信機器に対して入力して配信する必要があります。

 

と考えると、外部に協力者を置く手法でないと、この手の組織的カンニングを成立させるのは厳しいと言えそうです。

こうした不正を防ぐには、最初に問題を外部の協力者に送る(カメラか音声でしょうか・・・)部分を取り押さえるか、外部と内部の通信を検知する、あるいは妨害する事を考えるべきなのかも知れません。

 

外部と内部の通信を検知するとすると、海外では携帯電波の検知装置(約5万円)があるようです。

youtu.be

 

こうしたハンディ機器もありますが、コンサート会場などで携帯電話を抑止させるシステムなどを大型試験会場に設置する・・・

www.sem.co.jp

 

それが難しいのであれば、私物ロッカーを設置し、金属探知機でスマホを含む機器類の持込みを検査するしかないのかも知れません。

 

金属探知!と思う方は多いかも知れませんが、マイナビの記事では、

mikata.shingaku.mynavi.jp

 

ハイテクなカンニングが問題になっている中国では、試験会場に入る受験生たちを金属探知機でボディーチェックを行います。金属製のバックルがついたベルトや、ブラジャーのホックなども持ち込めないのだとか。手術などで体内に金属ボルトが入っている人や歯に金属が入っている場合は医療機関の証明書が必要になるなど、まるで空港のテロ対策なみの策が講じられています。さらに受験生同士の距離を離れさせるためにグラウンドに机を並べたり、最近ではドローンで上空から監視したりするなど、その対策はまるでハリウッド映画なみのスケールで行われています。

マイナビ記事より引用)

 

中国では既に金属探知を実施している、つまり実施しないと防げないと判断している様ですので、こうした脅威が増していけば、日本でも何らかの対策しなければならない時代が来るのは、そう遠くないかも知れません。

 

 

ã«ã³ãã³ã°ããã¦ããç·ã®å­ã®ã¤ã©ã¹ã

 

更新履歴

  • 2019年1月27日PM(予約投稿)