Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

オリンピックのバブル崩壊

日本のバブルは2度目の破裂を迎えつつある様です。

dot.asahi.com

 そもそも、そんなことが可能だとは大会関係者をはじめ、誰も思っていないのではないか。

 23日に開幕する東京五輪。政権が安全安心な大会を実現するための根拠とする「バブル方式」のことだ。開催地を大きな泡で包みこむように囲い、選手やコーチら関係者を隔離する。外部の人たちとの接触を断って新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ。サッカーやバスケットボールなどの国際大会で導入実績がある防疫措置だが、相次いで「穴」が見つかっている。

■入国ラッシュで「密」

 いま、羽田や成田空港では、選手団やスポンサー、大会関係者や要人らの入国ラッシュが続いている。島国日本にとって感染者の入国を阻止する「水際対策」の本丸だが、現実はのっけからバブルが崩壊している。

(中略)

 厄介なのが選手団以外の関係者だ。検疫や入国手続きは同じ飛行機の一般人とは時間差で行うことになっているが、そもそも誰が「関係者」なのか把握できないケースがある。要人に至っては外交儀礼上、検疫も入国審査もスルーだ。事前に提出された名簿と実際に空港に到着した人数が異なる場合もある。別便で入国して、先に到着した選手団や関係者に公共交通機関を使って合流することも可能だ。

 

 

キタきつねの所感

一昨日は都内某所の観光名所近くに買い物に行っていたのですが、私も「バブル破裂」を目の当たりにしました。

流石に関係者IDカードをぶら下げて・・・という訳ではなかったのですが、英語ではない言語を話されている東欧系の7-8人の集団と遭遇しました。

大型で筋肉質の方全てが選手・・という色眼鏡で見るのは良いない事ですが、ここ1年は出会う事が無かった中国・韓国といった東南アジア系”以外”の観光客が緊急事態宣言下の東京に来る事は無いと思いますので、まぁ間違いなく「選手村からの観光客」だろうなと思います。

仲間内でフレンドリーに写真を撮り合う姿は、コロナ禍でなければ、大歓迎すべき光景です。

しかし、こうして大会組織委員会のついた「嘘」を目の当たりにすると、開会式でマスクをせずに入場する国があった様に、プレイブックに書いたから問題無い、という性善説ベースの対策で推し進める事がいかに危険であるかを改めて実感します。

※プレイブックではスマホの持ち込みも禁止だった様ですが・・・(こちらはマスク着用以上に無理があった様です)

 

ソースがどこだったか忘れましたが、「日本のバブル方式は薄っぺらく、オカモト(コンドーム)程の信頼感も無いという趣旨の海外記事を読みましたが、この件に関しては、正にその通りだなと思います。

 

海外から東京に来て選手村と練習場と競技会場だけを回る。理想的な考え方ではありますが、セキュリティの世界で言う、境界型防御(の限界)と似ている気がします。

現実問題として境界(バブルの膜)を突き破って観光に出歩く大会関係者が出てきている事を考えると、大会組織委員会は、積極的に「観光に連れ出す」事を考えても良かった気がします。

 

よく海外セミナー等ではフィールドトリップ(公式ツアーやディナー)が設定されますが、

私は今更赤字が多少膨らんだとしても大した事は無いと思うので、選手や委員の方向けにオプショナルツアーを開催するという事をやっても良かったのではないかと思います。

 

例えばはとバス2階建てバスを貸切って、感染対策が十分に実施されている飲食店や東京の観光名所を巡るツアーを組むという事で、一定のリスク下に管理された状態で疑似「バブル」を維持できた気がします。

 

性善説ではなく、性説。

 

ルールで縛っても出ていくという前提で運用を考えていれば、日本が誇る「OMOTENASHI」の神髄(の一端)を、もしかすると全世界にPRできたかも知れません。

 

 

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 バブル崩壊のイラスト

 

更新履歴

  • 2021年7月24日 AM