セキュリティは見かけ上だけで『万全』であるかは分からないと、悠仁様の通われている付属中への不正侵入事件の続報を見ていて感じました。
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お茶の水女子大付属中学校(東京・文京)で秋篠宮家の長男、悠仁さまの机に刃物が置かれていた事件で、同中学校へ通じる大学の門の防犯カメラでは、自称長谷川薫容疑者(56)が侵入する様子を確認できないことが30日、捜査関係者への取材で分かった。配線が切断された防犯カメラは、大学の敷地を囲うフェンス近くに設置されたものだったことも判明した。
(日経新聞記事より引用)
◆キタきつねの所感
社会的に大きなの影響を与える事件では、捜査当局から事件の続報が出てくる事が多いので、改めて事件を考える上で参考になるのですが、結論から言えば、お茶の水付属中側のセキュリティは『万全という名の過信』を突かれたと考えられそうです。
事件調査に関して言えば、悠仁様、あるいはご学友が誰も襲われる事もなく、警察当局の尽力で容疑者をスピード逮捕している訳ですから、学校側がセキュリティ体制を見直して終わり、で良いのではないかという声もあるかも知れません。
警察の意地を感じた - Fox on Security
お茶の水女子大のセキュリティを考える - Fox on Security
ですが、原因部分を良く考えないと、”お茶の水”を濁した対策だけで終わり、根本的な脆弱性は残る可能性を感じます。特に学校主導でセキュリティ対策を考える(であろう)という部分に、一抹の不安を感じます。
FNN Prime記事に、付属中(もしくは大学全体)のものと思われる監視カメラが映っているものがありましたので、こっそり引用させて頂きますが、赤丸で囲った部分に大学側の”セキュリティ”思考が透けて見える気がします。
(FNN Prime記事より引用)
配線むき出し・・・これがセキュリティ機器である事を考えると、監視カメラを設置した業者あるいは、それを指示した大学側の『セキュリティ知見の無さ』を感じます。(セキュリティ重視の施設であれば・・)建物の内側に配線を這わせるか、配線を金属管で覆う事が一般的ではないでしょうか。
続報記事を見る限り、容疑者は侵入に際して一部の監視カメラの配線を切った様です。
東京・文京区の中学校で秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまの机に刃物が置かれていた事件で、学校の一部の防犯カメラの配線が切断されていたことが捜査関係者への取材でわかりました。周辺では園芸用のハサミが捨てられているのが見つかり、警視庁は、逮捕された男が自分の姿が写らないよう配線を切断したとみて捜査しています。
(NHK News Web記事より引用)
通販でよく見かける高枝ハサミなのかな?と思って、関連記事を調べてみましたが、園芸用ハサミとしか書かれてないので、(推測になりますが)おそらく1-2m程度配線を狙えるものだったのかな?と思います。
この程度のハサミで切断できる程に、監視カメラの配管保護が弱かったと言えるのではないでしょうか。
ここで更に疑問に思ったのが、一部の監視カメラ映像が映らなくなって、大学側(守衛・警備室)は何故その事をすぐに検知できてないのか?という点です。
これは、大学側は監視カメラ映像をリアルタイム監視してなかったという事なのだと思います。リアルタイム監視をしていれば、原因追及の為、警備員が当該監視カメラを確認しに行くのが普通です。意図的に配線が切られている事を警備員が把握できたとしたら、もしかしたら、今回の事件は(不審者侵入の可能性を感じて警戒モードが上がる事で)防げたかもしれません。
最後のポイントは、前回記事でも疑問として挙げましたが、やはり中学エリアに”不審な”工事業者を入れてしまっている点でしょうか。この部分に関してFNN Primeの報道内容(記事)では、専門家の意見として以下の事を挙げていました。
調べによると、防犯カメラに映っていた男は ヘルメットに作業着姿。
インターホン越しに、こう名乗ったという。
「工事の者です。」
工事関係者を装っていたという不審な男。
学校現場の防犯に詳しい専門家は、こう指摘する。
日本こどもの安全教育総合研究所の宮田美恵子理事長 :
4月の新入学の時期というのは、時期柄、学校内での 工事ですとか業者の方の出入りというのも増える時期。 それから(年度が変わり)警備側・業者の方も 人が変わっているということも考えられる。
業者の情報を警備の方が把握出来ていなかった可能性。
実際、お茶の水女子大学の在学生は取材に対し、在学生は「 お茶大は古くなってきていて、あちらこちらが ずっと工事をしている感じがあるので 作業着とかを着ていたら、いるな~っていう感じ。」と語り、作業着姿の人については「あんまり気にしない。慣れた。」と答えた。
最近は、日常的に作業員を目にしていたという。
(FNN Prime記事より引用)
この指摘ポイントが今回の事件でも存在していたのであれば、『油断』であったと言っても過言ではないかと思います。
学長は、5/11の保護者会で『危機管理意識が低かった』事を謝罪したという話ですが、
警備強化策として、防犯カメラや警備員を増やすほか、工事業者ら部外者が来校した際の身分確認を徹底すると説明した。スクールカウンセラーと連携し、生徒の心のケアに努めるとしている。関係者によると、中学校は13日から授業を再開する。
(ロイター記事より引用)
(これで全てという訳ではないでしょうが)対策内容を見ると、これだけで大丈夫かなと若干不安を感じます。
今回の事件は、関係者の『責任分界点』が不明瞭だった事も大きいと感じます。例えば、
・外部の入門許可を得た正規の業者(のはず)
・不正侵入は監視カメラに映っている(はず)
・不審者が一目もある中、壁や門を乗り越えて入ってくる人はいない(はず)
・工事業者は正規に呼ばれてきた(はず)
・工事業者は、(オートロック解錠後)担当の教職員の所にいく(はず)
・何か危ない事があっても、悠仁様の警護(SP)の方が守ってくれる(はず)
『守衛(警備員)』『周囲の壁』『監視カメラ』『(中学の)教職員』『警護(SP)』が何をどう守るのか、情報連携をどう行うのかをきちんと整理すべきでないかなと思います。さもなくば、多層防御はうまく機能しない(また事件が発生してしまう)可能性があるのではないでしょうか?
対策内容(警備強化策)を今一度見てみると、
①防犯カメラ増設
②警備員(巡回)の増員
③部外者(工事業者)の身分確認徹底
が挙げられています。
①に関しては、外部不正侵入(壁や門を乗り越える)部分への対策だと思いますが、前述の様に、配線保護が不十分だとケーブル切断される(映像が残らなくなる)リスクが残っていますし、そもそもリアルタイム監視をしてないのであれば、不正侵入を検知できないかも知れません。やはり警備の運用を見直すか、そもそも学校の守衛のレベルが低くて対処が難しいのであれば、(一時的に)カメラ画像監視を外部委託するという手もあるかもしれません。
②は特にコメントありません。
③は中学校の受付の事を指しているのであれば、精巧な偽造証明書も世の中に出回る時代ですから、不審者を中学校内部(セキュリティエリア)に入れてしまう可能性は残ってしまうかと思います。
中学エリアで、モニター越しに身分証確認するのは困難だと思いますので、書類専用のエリアを設けない限り、入り口(オートロックを開けて)で教職員が身分証を確認する事になるかと思います。その際、その教職員を極端な話ですが、殴って倒してしまえば、セキュリティエリアへの侵入は成功してしまうリスクが残ります。
ではどうすれば良いのか?
こうした外来者を厳格に管理する手法がいくつも考えられると思いますが、私はこんな方法が有効だと思います。
①中学の教職員は、予め大学の守衛(正門か南門)に対し訪問情報(業者名・業者責任者・電話番号・日時・学校側担当者名)を伝達しておく
※併せて、警護担当(SP)にも同じ情報を伝達しておく
②当日、工事業者は大学守衛で、身分証提示を行うと共に訪問情報を記載して入門申請を行う
③守衛は工事(来訪)予定リストにある情報と比較し、問題なければ中学の教職員(担当者)宛に電話(内線)連絡を入れる。
※ここで守衛が許可証を付与する考えもありますが、単純な許可証フォーマットだと偽造されるリスクもあるので、内線の方がより有効な対策だと思います。
④守衛からの正規の来訪連絡が無い限りは、中学のインターホンが押されて工事業者らしき人が入ろうとしてもドアを解錠しない。
⑤中学の教職員は、改めて工事業者の身分証確認を行い、(可能であれば)業者作業に常時同行する。
こうした対策について、学校側は警察などにも相談した上で発表している(※意図的に一部対策を隠している)のだと思いますが、警護というより物理侵入視点で、警察やセキュリティ専門家に、穴(脆弱点)がないかを再チェックして貰う方がよいのかと思います。
※※③に関して、運動会などで実績済のシール(ホロ?)の様なものがあるみたいですので、許可証運用も可能かのかもしれません。
「悠仁さまがお茶の水小に入学されて以来、見かけだけはセキュリティーが厳しくなった。運動会に入場できるのは生徒1人につき親族含め5人まで。特殊加工したシールを貼らないと入場を許可しないという徹底ぶりでした。それなのに今回はいとも簡単に、刃物を持った男の侵入を許して、ウロウロさせた。他の生徒も保護者も不安で仕方ないでしょう」(お茶の水中OG)
(Newsポストセブン記事より引用)
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