Fox on Security

セキュリティリサーチャー(インシデントアナリスト)で、セキュリティコンサルタントのキタきつねの独り言。専門はPCI DSS。

現金からの新型コロナ感染リスク

現金からの新型コロナ感染を恐れて、韓国では紙幣を洗濯機や、電子レンジに入れて破損させる方が出てきているという記事が出ていました。

※本日はセキュリティに関係のない記事となります

www.47news.jp

 

【ソウル共同】韓国銀行(中央銀行)は14日までに、紙幣や硬貨への新型コロナウイルスの付着を心配し、洗濯機で洗ったり電子レンジにかけたりする事例が相次いでいると発表した。

 韓国銀行によると、損傷したお金の交換量は前年同期比で約24億ウォン分の大幅増を記録。今年上半期は約60億ウォン(約5億4千万円)分に達した。

 ソウル近郊の安山では、香典にウイルスが付着していないか不安になった住民が洗濯機で紙幣を洗浄し、細切れになったうちの約2300万ウォン分を韓国銀行が交換した。

 西部仁川でも住民が電子レンジで焼損させた約500万ウォン分の紙幣の交換に応じたという。

共同通信記事より引用)

 

キタきつねの所感

緊急事態宣言の期間中、近くのスーパーで買い物のお釣りを、店員さんに直接財布に入れさせている高齢女性を見た時にも衝撃を受けましたが、隣国のニュースは更にその上を行くものがありました。

紙幣(硬貨)を洗濯機や電子レンジに入れると「どうなるか?」を想像が出来ない方が結構いるのであれば、新型コロナ予防で「にんにく」「食塩水の鼻うがい」「ゴマ油」が効くといった噂を信じてしまう方が多いのも、仕方が無い事なのかも知れません。

 

祝い金や香典では難しいかも知れませんが、キャッシュレス手段が普及している訳ですから、紙幣や硬貨からの新型コロナウィルス感染を恐れるのであれば、そうした手段に代替するか、家庭でも使い捨てのゴム手袋で現金を扱えば良いのではないかと思います。

 

私は特に現金授受で対策をしていませんし、その必要性を感じてないのですが、紙幣や硬貨に新型コロナウィルスが付着した場合、その影響をどこまで考えれば良いのか、少し調べてみました。

※新型コロナウィルスについては研究の最中という点もあり、以下の情報が全て正しいという訳ではありません

 

世界最大の医療および旅行セキュリティサービス会社であるインターナショナルSOSは以下の様な見解を出しています。

COVID-19は紙幣や硬貨を介して伝播しますか?


理論的には、現金は、他の頻繁に触れる物と同様にCOVID-19を引き起こすウイルスで汚染される可能性があります。 現金を扱った後、人はその手でウイルスを目、鼻または口に感染させる可能性があります。 しかし、この病気の主な感染経路は感染者との直接の接触です。 2006年、欧州疾病予防管理センターは報告書を公表しました。その中で紙幣は、インフルエンザの感染における潜在的な媒介物の一つと見られていました。 一般の人々にとって「紙幣や硬貨の取り扱いは実際には避けられないものであり、日常生活で使用される他のほぼすべての共有物に触れる場合と比較して、認識できるほどのリスクはありません。呼吸器飛沫(咳やくしゃみ)や共有の硬い表面や備品(手すり、エスカレーターのハンドベルト、ドアの取っ手など)にさらされた場合と比較すると、紙幣や硬貨のインフルエンザを伝播させる力は、この時点での社会で他に行われていることと比較して、非常に取るに足らないことです。 圧倒的に重要なのは、こまめな手洗いと『顔に触れない』というアドバイスの遵守です」。頻繁に現金を扱う人はリスクが高くなる可能性がありますので、現金を数える際に指を舐めないこと、現金取り扱い中や取り扱い後に顔に触れないことが推奨されます。「これらのリスクはやはり、手指衛生の遵守と『顔に触れない』ことにより、多くの職業において大幅に低減できます。」

InternationalSOS FAQから引用)

 

一方で、紙幣流通がどうなっているのかも気になるのですが、新型コロナにおける”先進国”である中国における紙幣流通ですが、3月の記事には「紫外線殺菌装置」や「高温殺菌」を実施し、感染者の多い地区で流通した紙幣は消毒~乾燥後に14日以上隔離してから再流通させるという措置が取られていた(いる)様です。

www.fukuishimbun.co.jp

 

「紫外線でのコロナ殺菌(不活性化)」は、まだ効果が実証されている訳ではありませんが、多くの専門家は効果があるであろうと言っています。

参考:新型コロナ対策で日本でも注目の紫外線 その根拠と行方は | DG Lab Haus

 

もし現金からの感染リスクを気にするのであれば、床屋や美容室で櫛やブラシを殺菌している下記の様な消毒装置を使うのも効果があるのかと思います。

※同様な効果は一部のLEDネイルドライヤー(マニュキュアやネイルを乾かす機械)にもある様ですが、元々の用途が違うので殺菌用には向かないかと思われます。

 

紫外線が有効であれば、「夏の太陽光」でも効果がありそうですが、殺菌で有効な深紫外線はオゾン層で大部分が吸収されてしまうので、一定効果しか望めない様です。

 

余談です。ネット調査している中でWHOの資料を見つけましたのでご紹介します。

先ほどの紫外線(UV)について、現金や医療器具ではなく、人体に当てるのは(皮膚がんの恐れもありますが)推奨されていません。

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吉村知事・・・

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トランプ大統領・・・は、抗生物質ではなくてマラリア治療薬でした。

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ゴマ油・・免疫力向上の間接的効果しか無いかと思います。参考

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ニンニク・・・夏バテ効果は期待できそうですが。。。

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その他、新型コロナについてのよくある疑問点は、前述のInternationalSOSのFAQが勉強になりました。COVID-19 よくある質問(InternationalSOS)  ※日本語です。

 

 

本日もご来訪ありがとうございました。

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更新履歴

  • 2020年8月15日 AM(予約投稿)